本研究は、メキシコ市において1528年から1812年まで開催されたイポリト祭について、その目的と意義を明らかにした。本研究では、主としてメキシコ市参事会の議事録をもとに、この祝祭の準備、進行、予算、参加者、参加形態などを詳細に分析し、スペインによる植民地支配において有した重要性についてまとめた。その結果、本国スペイン国王への忠誠を表す年中行事であったが、とりわけ16世紀から17世紀にかけてメキシコ市が抱えた対先住民の防衛、飲料水の確保、軍事力の強化の3つの側面からメキシコ市の存亡に不可欠な祝祭であることが初めて明らかになった。
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