研究課題/領域番号 |
24520847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
和泉 真澄 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (00329955)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 アメリカ合衆国 |
研究概要 |
平成24年度は、主として現地の歴史資料の収集に努めた。4月30日から5月5日にかけて、アリゾナ大学にてアリゾナ大学Special Collections Departmentやその他の図書館にて、アメリカ連邦政府の戦時戦時転住局等が作成した、ヒラリバー戦時転住所関連資料の一部を閲覧、コピーを行った。また、8月16日から21日までは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSpecial Collections Departmentにおいて、ヒラリバー転住所内でコミュニティ調査を行っていたチャールズ・キクチ関連の文書のなかから、日系人戦時避難転住調査の記録の一部を閲覧・コピーを行った。24年度に特に注意して集めたのは、収容所内の教育・学校関連の資料、ならびに、収容所で行われていた農業関連の資料である。 アリゾナ州におけるヒラリバー戦時転住所以外の日系人の収容施設として、ツーソン市の郊外にカタリナ連邦刑務所があり、第二次大戦中に日系二世の徴兵忌避者たちが収監されていたことが分かっている。カタリナ刑務所建設の経緯、および日系二世の収容所での体験について、8月23日から9月1日まで、アリゾナ大学およびアリゾナ歴史資料館にて、カタリナ連邦刑務所に収監された日系二世たちの記録を閲覧、コピーした。主な資料は、新聞切り抜き等のほか、“The ‘Tucsonians’ Oral History Project Collection, 1947-2002”である。 本年度の成果発表としては、カタリナ連邦刑務所での日系二世の生活について、「『ゴードン・ヒラバヤシ』キャンプ場について―カタリナ連邦刑務所と日系アメリカ人徴兵忌避者たち―」と題した論文を、『同志社法学』に投稿した。平成25年4月現在、再校を提出したところであり、まもなく刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一次資料の収集については、特に、ヒラリバー戦時転住所の教育、学校、および、農業関連の資料などについて、複写を獲得することができた。また、カタリナ連邦刑務所関連の資料を集め、刑務所での日系二世の生活について、論考を執筆し、まもなく刊行予定である。収容所の農業については、平成25年6月に「日本移民学会」にて、資料紹介を中心とした研究発表を予定している。したがって、研究はおおむね順当に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、ヒラリバー収容所での収容者の生活実態をより詳しく知るための資料、たとえば、収容所の居住区と居住者に関するできるだけ詳しい地図ならびに名簿、そのほか、収容所内での経済活動などに関する資料を入手したいと考えている。また、日系人以外のエスニックグループとの関連性については、まだあまり資料がないので、今後収集したいと考えている。ヒラリバー収容所での農業活動についてより歴史的な文脈を考察するため、第二次世界大戦以前の日系人の農業に関する知識を増やすことにも努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
より研究および資料収集の利便性を増すために、モバイルノートパソコンの購入を行う。これは、申請段階では予定していなかったが、これまでに使っていたパソコンの残存メモリが少なくなり、使用しづらくなったため、新しいものが必要となったことによる。その他、アリゾナやアメリカ、日系人の国際移動関連の書籍等の収集を引き続き行うとともに、現地資料収集のための海外渡航を行う予定である。行先は、アリゾナ州ツーソン、フェニックスなどを予定している。
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