本研究では第二次大戦中に強制収容された日系アメリカ人の体験のなかであまり調査されてこなかった、アリゾナ州の収容所に焦点を当てて歴史資料を収集した。ヒラリバー収容所では農業が盛んに行われ、戦前から青果・花卉農業で活躍していた一世が野菜や花作りに活躍し、収容所の食糧事情を大きく改善したことが明らかになった。収容所の高校卒業アルバム表象からは、戦争と収容の影響を最小限に抑えようとごく普通のアメリカの高校生活が描かれる一方、従軍した二世の活躍は大きく取り上げられていることから、卒業アルバムが単に卒業生の思い出作りだけでなく、主流社会に二世のアメリカ人性を伝えるメディアとして機能していたことが分かった。
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