研究課題/領域番号 |
24520851
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
吉村 真美(森本真美) 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (80263177)
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研究分担者 |
中沢 葉子(並河葉子) 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295743)
水谷 智 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (90411074)
川村 朋貴 富山大学, 人文学部, 准教授 (80377233) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イギリス / 帝国 / 移民 / 国際研究者交流 / 植民地主義 |
研究実績の概要 |
本課題は、19世紀イギリス帝国における帝国植民地間のヒト(人間)移動の精査な検証から、ヒトおよびそのコミュニケーションの連鎖と循環で形成される帝国規模のネットワークと、諸制度や文化、思想へのその影響の解明に取り組んだ。 吉村は、Children's Friend Society他の諸団体による子ども移民をとりあげ、19世紀以前の関連事例を含めて多角的に検討した。中沢は女性宣教師の西インドおよび東インドにおけるその活動の実態を検証した。また反奴隷制運動を指導したトマス・クラークソンなど、宣教師派遣団体に影響を与えた福音主義者の移動と活動も検証した。水谷は、植民地におけるイギリス植民地主義やそれにたいする抵抗の、別の植民地的文脈との関係に注目して植民地教育政策をとりあげ、イギリスのインドにおける経験が、エジプト支配に及ぼした影響について検証した。 三者の成果の照合によって植民地間移動とその影響のパターン析出に務めた結果得られた結論の一つは、従来「本国―植民地」間の往来を中心に考えられてきたヒト移動の際立った活発さと越境性である。またヒトとともにその植民地経験や、経験を反映した諸制度・諸活動も移動したことが判明した。さらにこのような動きは、当該植民地や植民地間、帝国の枠を超えて「外国」にまで及ぶことも例証された。 2014年12月にイギリス帝国史研究会と共催したワークショップにおける、アデル・ペリー氏(カナダ・マニトバ大学)、松田ヒロ子氏(神戸学院大学)、藤川隆男氏(大阪大学大学院)らの、アジアを含めた広範な地域を視野に入れた移民・帝国史研究の意見交換でも、これらの結論は裏付けを得た。特にフランスや日本など他の近代帝国への影響については今後分析・検証を進める余地があること、そしてそれは国際的な帝国史研究への大きな寄与となるだろうとの展望で意見の一致を見た。
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