禁農モデルを考古学資料によって検証してきた結果、明らかとなったことはアイヌ文化の農耕は、ヒエ、アワ、キビ、オオムギなどの雑穀が作物であることである。北海道ではアイヌ文化以前の擦文文化においてもオオムギやキビの栽培活動がおこなわれていたことが発掘調査から明らかである。擦文文化の農具類は、農耕の技術体系の中に位置づけられる、アイヌ文化への農具の継承、さらに、栽培された炭化種子、オオムギやキビの存在において継承され、アイヌ文化にみられる農耕儀礼や農耕神話についての起源をかんがえさせることになる。考古学におけるこのような成果はフロテーション法によって出土する炭化栽培種子の存在によるところが大きい。
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