これまで行った成果に、新たに広島県の太田貝塚を加えた。今回利用する方法は資料を壊すことのない、非破壊方法である歯冠計測と歯の非計測的特徴を用いた。 歯冠計測において、東海では、三河湾沿岸の遺跡には男性、女性とも距離が近い。外群としての太田を加えても結果は殆ど同じで、特に伊川津と吉胡の女性は形態距離が非常に近く近縁の値を示す。男性は、東北の中沢浜と大洞が婚姻後も男性が在地に残る嫁入婚である可能性を示した。非計測的特徴においても、渥美半島の遺跡は他地域とは独立したクラスターを形成し、遺跡間の距離は近く近縁の可能性が強い。渥美半島周辺の遺跡間では、遺伝的にまとまってきたことが証明できた。
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