研究課題/領域番号 |
24520858
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
大橋 泰夫 島根大学, 法文学部, 教授 (80432615)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 古代 / 地方官衙 / 国府 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、古代日本の国家形成の過程を解明するために、国郡制の形成と深く関わる国府の成立について、その実態を考古学的に明らかにする点にある。 平成26年度は、西日本各地の国府とその関連遺跡を中心に資料調査を行い、国府創設と整備状況の情報収集に努めた。とくに山陽道の備前国・備中国・備後国について、現地において資料調査を行い、7世紀後半に設置された古代山城との関係性を検討した。その結果、これまでは古代山城と国府との関係は取り上げられることは少なかったが、その国府設置にあたって古代山城との関わりはあったと推定できた。また、国府と在地における寺院との関係についても把握できた。 さらに、多賀城(陸奥国府)の外郭南門、出羽国・秋田城および上野国府跡の発掘調査現場を視察し、東国における国府の創設・整備状況を確認した。なかでも、多賀城創建期の政庁所用瓦の資料調査を行い、陸奥国内における瓦の生産と供給の様相を把握した。また、宮崎県日向国府跡(国庁)の発掘調査現場の視察を行い、8世紀後半に成立するコの字形配置の定型化国庁に先行する、長舎から構成される初期国庁の実態の把握を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度について、国府関連資料の収集について、ほぼ予定していた国府を中心とする遺跡について、遺構や出土遺物の資料調査を実施できており、おおむね当初の計画通りに研究はすすんでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、国府成立期の実態を考古学的に遺構・遺物の検討を通して解明することを目的としている。その中で、都城(藤原宮)と国府との関係、国府と郡衙との関わり、国府中枢施設である国庁の実態を明らかにする。こうした考古学的作業を通して、古代国家形成期における国府の役割を明らかにする点が研究目標である。 本年度までの成果を通して、最終年度である2015年度は総括的な研究を行う。また、研究を遂行する上で、必要に応じて補足調査として数カ所の資料調査を行う。
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