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2013 年度 実施状況報告書

農耕民の人為景観化と民俗方位観念生成の相互作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520865
研究機関東海大学

研究代表者

北條 芳隆  東海大学, 文学部, 教授 (10243693)

キーワード水稲農耕民 / 集落配置 / 方位観念 / 民俗方位 / 風水思想
研究概要

本年度は沖縄本島における民俗方位観念の生成過程にかんする現地調査、およびこの問題に関する現在の民俗学・考古学の学界動向を再検討する作業(項目1)と、西表島周辺の島々にみる民俗方位観の実地点検作業(項目2)、さらに西表島西部の網取遺跡の集落部分に対する発掘調査(項目3)を実施した。
項目1については本島所在の大型グスクを対象とし、方位観の問題を実地に検討した。その結果、顕著な状況は浦添グスクと今帰仁グスクで確認された。前者は冬至の日の出の方角を重視した太陽信仰、後者は明朝からの影響である北辰信仰に即した諸施設の配列であることが確認された。また両者の折衷的な状況は首里グスクで認められ、太陽信仰と北辰信仰を融合させた配列であると理解可能である。こうした現地での観測結果と現在の方位観念に関する学界情勢を点検した結果、沖縄地域における風水思想の導入と定着過程が鍵であることが判明した。
項目2については鳩間島、竹富島を対象に選び、現地踏査を実施した。ここでは古墓とウタキ、集落の配列関係と方位の問題を検討し、民俗学で指摘されている「腰当て信仰」の実際的なバリエーションを確認した。併せて本信仰と風水思想との関わりを点検し、前者は後者からの影響であるいっぽう、定説的な配列とは異なる様相をどう紐解くかが今後の課題であることが判明した。
項目3については、網取遺跡にみとめられる「腰当て信仰」の起源がどの年代までさかのぼるのかを解明すべく、試掘的な調査を実施した。その結果、集落の成立が15世紀台にさかのぼる可能性が浮上することになった。従前の見解は17世紀であり、風水思想の影響は17世紀後半以降であるため、単純な図式化にはなお検討の余地があることが再確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上記の項目1で解明された知見は、これまでの民俗学・考古学的な理解では解明されていなかった事象であり、とくに首里グスクにみられる方位問題を浦添グスクと今帰仁グスクとの対比において把握する分析視座は、本研究による新知見だと考えられる。グスク研究の今後に寄与するところが大きいものと予測され、さらなる掘り下げが可能だと考える。

今後の研究の推進方策

今後は項目1で示した新知見を基礎に、まず沖縄本島における大型グスクと方位観念の問題を整理し、中国側からの影響と日本列島独自の方位観念の融合過程や折衷過程の考察を進めたい。同時に民衆レベルで発展・定着してきた方位観念との関わりを点検することを通じて、これまで風水思想からの影響を重視して考察されてきた沖縄地域の民俗方位の問題について、考古学側からの新たな提言の構築を目指す。ただし年代的な前後関係の確定が基礎になることはいうまでもなく、その意味でも網取遺跡で進めているケーススタディの充実を目指す。

次年度の研究費の使用計画

残額の133円については、適当な支出費目が見つからなかったため、次年度に回すこととした。
上記の金額については、次年度、物品費として加算し使用したい。

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公開日: 2015-05-28  

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