沖縄県西表島における初期農耕村落の調査成果を基礎に水稲農耕民が抱く方位観念や他界観の問題をモデル化し、以下の理解が可能であることを解明した。 すなわち仏教が日本に伝来する以前の日本列島先史社会に生きた人々は、太陽信仰と、火山を中核に据えた山への信仰とを主体とするコスモロジーのもとで暮らしていたと考えられる。こうした他界観の様相が明らかになるのは、弥生時代(紀元前8世紀頃~西暦3世紀)であり、この時代はコメを中核とする農耕社会であったが、コメ栽培の定着は東西方位を基本軸線に据えた方位観念、そこに祖霊の住み処を措定する他界観の表示である。これらは祭儀施設や前方後円(方)墳の配列や方位から導ける。
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