先史土器のフォッサマグナ西縁(糸魚川-静岡構造線)を挟んだ東西方向の土器の移動を、蛍光X線分析によって捉えるために判別の基準資料(「準原産地資料」)を収集し、これらから得られた化学組成データに基づいて判別図を作成した。さらにこの判別図を用いて、縄文時代前期初頭の東海系土器である木島式土器・清水ノ上Ⅱ式土器、縄文時代中期末の加曽利E4式・曽利Ⅴ式土器などを対象とした事例研究を行った。 この判別図は東海地方における土器の東西方向の移動を捉えるのに極めて有効であった。また事例研究の結果、先史土器の分布圏拡大に伴い、搬入、模倣、地方型式化という現象が起きていることが示唆された。
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