研究課題/領域番号 |
24520868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中沢 道彦 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40626032)
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研究分担者 |
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 教授 (10221730)
中村 豊 徳島大学, その他の研究科, 准教授 (30291496)
中村 大介 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (40403480)
遠部 慎 徳島大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50450151)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | レプリカ法 / 環日本海 / 農耕 / 生業 / 土器圧痕 / 縄文時代晩期 / 土器編年 / 栽培 |
研究概要 |
東アジアを環日本海という視点で日本列島を中心に農耕文化の生業複合及び社会の変化を分析するための基礎データをの集成するための調査を行うとともにその評価を試みた。そして生業データと考古学資料の変化の相関性の検証を試みた。成果は各研究者ににより学術論文や学会発表などを行った他、公開シンポジウムを開催した。 1 シンポジウム・研究会の開催 2012年度の研究成果公開として2013年3月17日に明治大学リバテイータワーにおいて公開シンポジウム「レプリカ法の開発は何を明らかにしたのか―日本列島における農耕の伝播と受容の研究への実践―」を開催した。中沢道彦、濵田竜彦、中村豊、宮地聡一郎、金姓旭、戸村正己・菅谷通保が研究発表を行い、討論では川添和暁も討論に加わり、阿部芳郎が総括した。また、丑野毅による講演も行われた。また、2012年5月26日、10月6日に研究会を明治大学で開催した。 2 講演・研究発表 上記シンポジウムの他、中沢は6月24日、11月17日の長野県考古学会50周年記念プレシンポジウム(長野県岡谷市)、シンポジウム(長野県千曲市)、9月2日の雑穀研究会第26回大会(山梨県小菅村)、11月24日の日本植生史学会第27回大会(新潟県長岡市)、12月15日の縄文時代資源利用研究会シンポジウム(明治大学)で研究発表を行った。 3 調査(1)レプリカ法調査 山陰、四国、近畿、東海、中部高地の調査を行った。(2)種子分析 徳島県庄・蔵本遺跡の調査を行った。(3)年代測定 日韓試料の年代測定を行った。(4)土器・石器研究 中部高地、東海の石器組成の分析を行い、土器のアワ、キビ圧痕出現の時期と石器組成の変化の相関性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、平成25年度実施予定の大阪府宮ノ下遺跡、鬼塚遺跡のレプリカ法調査、島根県三田谷遺跡の構造分析を平成24年度中に実施した。また、平成25年度にゲストスピーカーで招聘予定であった金姓旭の日韓の石器使用痕研究が予想以上に進展していたため、平成24年度ではゲストスピーカーを招聘して研究会開催を予定していたが、平成25年3月に農耕文化の伝播と受容に関するシンポジウムをがをため、平成25年度開予定のンポジウムを平成25年3月に前倒しで実施した。シンポジウム「レプリカ法の開発は何を明らかにしたのか―日本列島における農耕の伝播と受容の研究への実践―」では、中沢道彦、浜田竜彦、中村豊、中村大介による各地域のレプリカ法調査成果と遺物や遺構の変化、宮地聡一郎は弥生化、金姓旭は石器使用痕分析の日韓比較、戸村正己、菅谷通保は土器の種実圧痕の形成過程実験に関する研究発表を行われ、討論では川添和暁も加わった。丑野毅がレプリカ法に関する講演を行い、阿部芳郎が全体を総括した。 レプリカ法の調査では平成24年度予定の福岡県江辻遺跡、長崎県井手遺跡、兵庫県口酒井遺跡の調査が実施できなかったが、平成25・26年度実施予定の山口県沖田遺跡、大阪府宮ノ下遺跡、鬼塚遺跡を実施した他、山陰や東海・中部高地、新潟の資料を調査することができた。 打製石斧の分析が進み、中部高地や東海でアワ、キビ導入の時期に打製石斧が増加し、伝統的な縄文の土掘り具が大陸からの畠作導入において耕作具として導入したという蓋然性の高さが高まった。
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今後の研究の推進方策 |
以下の方向性で今後の研究を推進する。 ①レプリカ法による農耕文化成立期の土器の種実圧痕調査が進んでいない九州島嶼部・北部、四国、山陽、近畿を重点地域として、引き続きレプリカ法調査を進める。また日本列島各地の調査も進める②日韓の農耕文化伝播、拡散過程を明確にするため、引き続き朝鮮半島の調査を引き続き進める。③種実圧痕が研修され、動植物遺存体が充実する遺跡、水田、畠など生産遺構が検出された遺跡、墓址、集落遺跡を選定し、遺物、遺構の総合的な分析を行う。④考古学資料の変化とレプリカ法で明らかになった農耕受容の時期の照合農耕文化成立期の遺構、遺物など考古学資料の変化との相関性を検証する。 また、中村大介により韓国における新石器時代・青銅器時代土器の種実圧痕をレプリカ法で調査することに先鞭が付けられ、韓国ではその分野の研究が盛んになっている。レプリカ法が日本が生んだ世界考古学に適応できる分析法であることを明らかにした。今後は韓国以外のアジアなど海外で実験的に調査事例を増やして調査を行う必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の計画 平成25年度はレプリカ法について、重点地域である山陽を4月から6月、近畿を5月から8月、山陰を6月から8月、韓国を7月~8月に実施する。また他地域の調査も4月~9月に行う。そして、走査型電子顕微鏡による観察、同定を9月~1月に行う。また、農耕文化成立にかかわるモデル構築遺跡の調査として、山陰の調査を8月~9月に行う。また、1月に研究分担者、研究協力者による研究会を実施し、平成25年3月に実施したシンポジウム「レプリカ法の開発は何を明らかにしたのか」及び平成25年度上半期の調査成果から、研究の重点課題である①重点地域の九州北部、山陽、四国、近畿のレプリカ法調査によるイネ、アワ、キビの導入時期の検証、韓国におけるイネ栽培の時期の調査③生業複合と社会組織の変化のモデル構築④レプリカ法により明らかにされた農耕受容時期と遺構、遺物の変化の相関性の検証の現状を確認、論点整理を行う。 平成26年度の計画 平成25年度までの研究成果を踏まえ、平成26年度はレプリカ法による補足調査を4月~7月までに実施するほか、11月に本研究の課題である①重点地域の九州北部、山陽、四国、近畿のレプリカ法調査によるイネ、アワ、キビの導入時期の検証、韓国におけるイネ栽培の時期の調査③生業複合と社会組織の変化のモデル構築④レプリカ法により明らかにされた農耕受容時期と遺構、遺物の変化の相関性の検証の成果を公表するシンポジウムを開催する。
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