研究実績の概要 |
本研究は、エジプト、アブ・シール南丘陵遺跡での考古学的発掘調査の成果をもとにエジプト王朝時代の聖地の形成と展開を明らかにすることを目的とする。 2014年度は、本課題研究の最終年度となるためこれまでの研究の総括を主眼として研究を行った。特に、中王国時代の祭祀活動の具体的な内容について検討し、ライオン女神の「酩酊の祝祭」に関連する祭祀活動であった可能性が高いことを指摘することができた。成果は、日本オリエント学会第56回大会にて、「エジプト、アブ・シール南丘陵遺跡における中王国時代の祭祀の性格について」という題で発表し、現在同内容の論文を執筆中である。海外では、エジプト、カイロ・アメリカン大学による招待講演にて成果を発表した。また古代オリエント博物館、岡山市立オリエント美術館等で、一般向けに成果を発表した。また、同遺跡の集団埋葬に関する研究成果については、チェコのカレル大学エジプト学研究所で開催された国際研究集会"THE CROSSROADS II, OR THERE AND BACK AGAIN"にて、An Intact Multiple Burial in Northwest Saqqara and its ethnic identitiesの題で発表した。 アブ・シール南丘陵遺跡の現地調査は、8月から9月に実施し、カエムワセト王子の石造建造物およびその娘のイシスネフェルトの墓の未掘エリアの発掘調査を実施した。同時に、サッカラの考古省の遺物収蔵庫およびカイロのエジプト博物館にて、これまでの出土遺物の調査研究を行った。発掘調査の成果については、日本西アジア考古学会の第22回西アジア発掘調査報告会において発表を行った。
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