研究課題/領域番号 |
24520871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
小田木 治太郎 天理大学, 文学部, 准教授 (90441435)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 考古学 / 帯金具 / 中国北方青銅器 / 東周・秦・漢 / 蛍光X線分析 / 鄂爾多斯青銅器博物館 |
研究概要 |
連携研究者:①廣川守(30565586、泉屋博古館・学芸課・学芸員)、②菊地大樹(00612433、奈良文化財研究所・埋文センター・客員研究員)。研究協力者:王志浩(中国・鄂爾多斯(オルドス)青銅器博物館・館長) 本研究では、中国東周期の中国北方青銅器文化の帯に始まり、隋唐や日本古代の[金夸]帯、さらにその後に続く各地での飾り帯を「東アジア飾り帯文化」と捉え、特に東周期の北方青銅器文化の帯金具が秦・漢に流入して定着する過程を追求することが目的である。この目的を達成するために、以下の3項目を行った。 1.関連資料のデータベース作成と検討:東周期中国北方地域の帯関連資料を文献から集成し、種類・数量・出土状態などをデータベース化した。大きく、甘寧・内蒙古中南部・燕山の3地区に分けて捉えており、甘寧地区については文字・数値および画像のデータベース化が済んだ。内蒙古中南部は文字・数値は完了し、画像のデータベース化の途上である。また中国北方以外の、中国地域・日本の古代帯関連資料の集成を進め、データベース化に備えている。 2.資料調査およびその検討:中国内蒙古自治区の鄂爾多斯青銅器博物館に赴き、関連資料を調査した。帯金具の観察による基本構造の把握、および蛍光X線分析により材質組成の調査を行った。国内においては天理大学附属天理参考館所蔵資料について、同様の調査を行った。調査した資料は、写真・蛍光X線スペクトル図を含めた画像データベースにまとめた。なお鄂爾多斯調査の共同研究者は、当初、鄂爾多斯青銅器博物館副館長の楊澤蒙氏の予定であったが、氏が同博物館から急遽異動したため、館長の王志浩氏に変わった。 3.研究成果の発表:中国陝西省秦始皇陵博物院で行われた学術会議「秦与北方民族国際学術研討会」に参加し、発表を行った。またその後、発表内容は論文にまとめて提出した(未刊行)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記した本年度の研究実施計画には、大きく3項目を挙げた。①関連資料データベースの作成と検討、②中国での資料調査およびその検討、③国内収蔵品の調査、である。本報告の「研究実績の概要」欄に示すように、3項目いずれにおいても着実に進展している。①の関連資料データベースについては、当初の予定よりやや遅れ気味であるが、一方で中国で行われた国際学術会議に参加し発表を行うなど、当初計画を上回る成果もあった。
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今後の研究の推進方策 |
連携研究者・研究協力者には、中国・寧夏文物考古研究所研究員の羅豊氏を加える予定である。 1.関連資料のデータベース作成と検討:本年度に行った東周時代北方地域の帯関連資料のデータベース化を進める。また中国の秦漢以降の関連資料も文献での調査を行い、データベース化を進める。 2.資料調査およびその検討:本年度と同じ方法で資料調査を行う。本年度の鄂爾多斯青銅器博物館の調査では、他館貸出のために調査できないものがあった。これらは再び同館を訪れて調査する。また、当初計画では同館を起点に鄂爾多斯周辺の個人所有の資料調査を展開することにしていたが、これを変更し、寧夏回族自治区の出土資料の調査に切り替える。資料価値は後者が高く、より意義の大きい調査となる。同自治区の資料に精通している羅豊氏からは研究協力の同意を得ている。国内では、天理大学附属天理参考館所蔵資料の調査を続ける。 3.成果の発表:資料データベースおよび調査結果の検討は、連携研究者・研究協力者と会議を行い研討を重ねる。これらの中間報告的な発表を、大小の学会・研究会で適宜行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、当初予定より26万円余りを減額して研究を行った。これは、中国および国内での資料調査の成果が予想以上に大きく、最終年度に予定している報告書の印刷に多くを要すると予想したためである。次年度は、ほぼ当初計画通りの研究費使用を予定している。これにより、最終年度に予測される経費増に備えうると考える。
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