研究課題/領域番号 |
24520871
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
小田木 治太郎 天理大学, 文学部, 准教授 (90441435)
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キーワード | 考古学 / 帯金具 / 中国北方青銅器文化 / 東周・秦・漢 / 蛍光X線分析 / オルドス / 寧夏回族自治区 / 国際研究者交流(中国) |
研究概要 |
連携研究者:①廣川守(30565586、泉屋博古館・学芸課・学芸員)、②菊地大樹(00612433、奈良文化財研究所・埋文センター・客員研究員)。研究協力者:王志浩(中国・鄂爾多斯(オルドス)青銅器博物館・館長)、羅豊(中国・寧夏文物考古研究所・所長)。 本研究では、中国東周期の中国北方青銅器文化の帯に始まり、隋唐や日本古代の[金夸]帯、さらにその後に続く各地での飾り帯を「東アジア飾り帯文化」と捉え、特に東周期の北方青銅器文化の帯金具が秦・漢に流入して定着する過程を追求することが目的である。この目的を達成するために、以下の3項目を行った。 1.関連資料のデータベース作成と検討:帯関連資料およびその出土状態のデータベース化を進めた。東周期中国北方地域と前漢代のデータベース化は一部を残し、一通り終了した。その検討作業も進め、燕山地域の帯留金具については論文を作成するに至っている。 2.資料調査およびその検討:中国内蒙古自治区の鄂爾多斯青銅器博物館および、寧夏回族自治区の彭陽県文物管理所・中衛市文物管理所に赴いて、帯金具および関連資料の調査を行った。観察による基本構造の把握、および蛍光X線分析により材質組成の調査を行った。調査結果は写真・蛍光X線スペクトル図を含めた画像データベースにまとめている。とくに蛍光X線分析からは、金銀器に注目すべき問題点が明らかとなったので、その問題を重点的に検討し、学会発表に至った。 3.研究成果の発表:本報告書第13項に示すように、論文発表、学会発表を行った。このほか中国において論文発表すべく原稿を作成した(「対鄂爾多斯北方青銅文化時期金銀器的新認識」、掲載先は未定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記した本年度の研究実施計画には、大きく3つの柱を設けている。すなわち①中国における資料調査とその検討、②第2転換(晋式帯金具の出現)に関する資料データベースの作成、③学会・研究会発表である。 ①は当初計画の鄂爾多斯青銅器博物館に加えて、寧夏回族自治区にも赴いて調査を行い、当初計画を上回る成果を得ている。②については、東周期北方地域の資料データベースの作成を初年度から継続して行ったことが影響して、やや遅れている。③は学会発表のほか論文発表も行い、当初計画を上回ったと言える。以上、遅れている部分もあるものの、総体的に見て順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.関連資料のデータベース作成と検討:中国の前漢代および、第2転換(晋式帯金具の出現)に関する資料のデータベース化を推進する。 2.資料調査およびその検討:寧夏回族自治区に赴き、寧夏文物考古研究所の羅豊所長および朱存世氏と共同で、主に固原博物館収蔵資料の調査を行う。この調査は当初計画ではオルドス地域の個人収集家収蔵資料の調査としていたものを変更して行うものである。固原博物館では考古学的調査で出土した資料を重点的に調査する予定であり、当初計画より高価値の調査となる。 3.研究成果の発表と統合:来年度は本研究最終年度であるので、成果を統合し報告書を作成・刊行する。研究成果は当初予想より大きなものとなっているので、報告書の作成には当初の想定より大きな費用を要する。研究経費の無駄のない支出に努め、よりよい報告書の作成に努める。また、大小の学会・研究会で成果の一部を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
資料調査の成果が予想以上に大きく、次年度(最終年度)に作成する予定の成果報告書の印刷に多くの経費を要すると予想することから、今年度までは支出を抑えて研究を行ったため。 今年度の余剰金は、上記のように、次年度(最終年度)において研究成果報告書の印刷費を増額するのに使用する。
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