2015年9月20日から27日まで、(公財)山形県埋蔵文化財センター(上山市)、東北大学考古学資料収蔵室(仙台市)などにおいて、石器技術学研究会の研究集会を開催した。参加者はフランスより招聘したJ.ペルグラン博士(CNRS)、研究担当者の會田ほか研究協力者である、冨井眞博士、粟田薫博士、高橋章司氏、大場正善博士、共同研究者阿子島香教授ほか東北大学院生などである。研究集会では間接打撃による石刃剥離技術の存在を証明するために、これまで分析検討してきた資料をJ.ペルグラン博士とともに観察し、分析を行い、再現実験を行った。観察した資料は横道、高瀬山J、楢ノ木平、お仲間林、峠山牧場遺跡A地区、早坂台、下嵐遺跡出土資料である。これらの資料を検討した結果、確実な間接打撃の痕跡を明らかにすることはできなかった。軟質石ハンマーの直接打撃と有機質ハンマーの直接打撃の両者の特徴が混然としていた。 そこで、横道遺跡の資料に絞り観察と検討を繰り返した結果、パンチを用いた間接打撃と考えるよりも、特異な打面調整を行った打面に軟石で直接加撃を行うテクニークにより剥離された可能性が高くなった。そのような加撃方法で、前面角がほぼ垂直な石刃が剥離できることを証明するために、ペルグラン博士により再現実験が行われた。それにより、横道遺跡出土石刃と同様の特徴をもつ石刃の剥離に成功した。 これらの観察・分析・再現実験の結果を受けて、2015年9月27日に東北大学大学院文学研究科135講義室を会場に東北大学大学院考古学研究室と石器技術学研究会と共催で2014 International Seminar “Interfacing Lithic Technology and Function : French and Japanese Palaeolithic”を開催し、研究成果概要を発表した。
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