研究課題/領域番号 |
24520874
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
槙林 啓介 愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 講師 (50403621)
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研究分担者 |
米澤 剛 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90402825)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 考古学 / 情報地質学 / 環境史 / 地形環境 / 生業 / 稲作 / DEM解析 / 国際情報交換中国 |
研究概要 |
1年目は、槙林啓介(研究代表者)は海外共同研究者と協議しながら現地調査の環境整備を行い、米澤剛(研究分担者)はDEM解析が対象地域でも有効かどうか試行することを主な目標とした。この目標にしがたい、3回にわたる研究会と、現地調査および海外共同研究者との協議を行った。第1回研究会では、槙林と米澤の双方の研究方法論の詳細について、相互にセミナー形式で行うことで方法論上の融合を目指すことを目的にした。第2回研究会では、槙林が「漁撈具からみた水辺環境、そして稲作へ」、米澤が「上海周辺のDEM作成」の題目で研究発表を行った。とくに後者は、上海周辺を手始めにASTER GDEMを用いてDEM作成を試行したものである。米澤は、この結果に鑑み、対象範囲を江蘇平原南部に広げさらに解析を行った研究「衛星画像データを用いたDEM作成-江蘇平原その1-」を第3回研究会で報告した。江蘇平原から上海地域の現地形環境は現在でも比高差がほとんどなく、微地形の状態が明瞭に可視化できる指標を検討する必要がでてきた。槙林は中国へ渡航し、当初予定の海外共同研究者の陳傑(上海博物院)や張居中(中国科技大学)、ほか孫国平(浙江省考古研究所)と協議しながら、江蘇平原や太湖周辺の古環境復元の情報の提供を受けた。また、次年度以降の予定している洞庭湖周辺や華南地域での分析を検討すべく、顧海濱(湖南省考古研究所)や鄧聡(香港中文大学)の両氏を訪問し、情報の提供を受けた。このほか、槙林は江蘇平原から太湖周辺の環境と生業に関わるデータベースの作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は異分野融合の研究でもあるため、とくに研究打合せを多く行うことを計画していた。本年度は、3回の研究会を開催し、その目標を達成した。これにより、研究方法の特性を双方が理解でき次年度以降の研究統合の下準備を整えた。ただし、2013年9月以降、日中間関係が不穏になったことで、中国国内での研究計画を大きく変更せざるを得なかった。とくに、現地調査は、安全面を考慮して大幅に制限した。こうした状況を受けて、当初予定の洞庭湖や華南調査についての現地研究者らとの協議に加えて、来年度予定していた衛星画像分析の候補地の検討をくり上げて行い進捗を補正した。よって、本研究全体の進捗はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
江蘇平原から太湖周辺の分析に集中する。米澤は左の対象地域全域のDEM作成を行い、槙林は考古資料のマップリングを完成させ、今年度中に両者を統合できるように進める。そのために、3回の研究会を行う。また、各分野の学会等で研究発表を行い成果公表を順次行っていく。当該地域は、前述のように安全面が懸案となっているため、ひきつづき状況を見ながら、現地調査を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
6月、10月、3月に研究会および研究協議を愛媛と大阪で実施し、7月、12月に中国で現地調査を行うための旅費を計上している。また、共同研究者はそれぞれ5月と10月に学会発表を予定しており、その旅費も計上している。DEM解析のための衛星画像データの購入、発掘調査報告書等の資料の購入もひきつづき予定している。また、分析に関わる補助のために謝金を計上している。
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