研究課題/領域番号 |
24520874
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
槙林 啓介 愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 講師 (50403621)
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研究分担者 |
米澤 剛 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90402825)
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キーワード | 考古学 / 情報地理学 / 環境史 / 地形環境 / 生業 / 広範囲経済 / 稲作 / DEM解析 |
研究概要 |
2年目、槙林(研究代表者)は浙江省、江蘇省における現地調査を行い、米澤(研究分担者)は主に江蘇平原のリモートセンシングデータ(衛星画像)を用いたDEM作成と地形解析を進めることを主な目標にした。この目標にしたがい、3度にわたる研究会と、現地調査を行った。第4回研究会では槙林が「江蘇平原の遺跡分布と地形環境の現在」、米澤が「東アジアにおける多元的稲作化過程の研究-地形環境史の試み-研究進捗状況」と題し研究発表を行った。前者は、槙林が江蘇平原の微地形を中心に踏査したものを発表した。この踏査は、DEM解析結果と現地踏査とを対照する予備的調査として行ったものである。第5回研究会、第6回研究会では、米澤が「江蘇省のDEM作成」、「中国江蘇平原の高精度DEMの作成と地形解析」と題し解析の進捗状況を発表し討議を行った。地形環境が予想以上に平坦かつ水域(水田環境等)が数多く存在しているためリモートセンシングデータのレーザーに散乱が生じている。そのため解析に良好なデータが得られない可能性があり、そのための方策を講じる必要がでてきたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
江蘇平原から上海における地形環境の解析では、使用する個々の衛星画像の精度に誤差があり、新しく方法を開発する必要がでてきた。上海、江蘇南部の博物館・考古研究所所蔵の出土遺物の観察はおおむね進んだが、江蘇北部の遺跡の出土遺物の所蔵機関に不明な点があり、海外研究協力者等からさらに協議し情報収集をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
DEM解析の問題点を明らかにし、ALOSとの合成によりDEMの精度を上げ解析を進める。ALOS PRISMデータの選択を見直す。これにより、江蘇平原の広範囲に解析を可能にする方法を確立する。また、対象地域の遺跡の堆積状況および生業類型を再検討することで、生態環境と遺跡立地の関係を明らかにする。これをもとに、現地踏査の行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
諸般の事由から、予定していた現地踏査を次年度に繰り下げたことにより、予算使途の若干の変更があったため。 5月日本考古学協会、6月日本情報地質学会にて、中間報告を行う予定である。研究会および研究協議を愛媛と大阪で継続して実施する。また7月、9月に現地踏査を実施する。これらの旅費を計上している。DEM解析を進めるべく、衛星画像データの購入、発掘調査報告書等の資料の購入も引き続き予定している。最終報告に関わる印刷費等を計上している。
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