研究課題/領域番号 |
24520876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
細谷 葵 お茶の水女子大学, グローバル人材育成推進センター, 特任講師 (40455233)
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研究分担者 |
中村 大 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 外来研究員 (50296787)
楊 平 滋賀県立琵琶湖博物館, その他部局等, 学芸員 (50470183)
渋谷 綾子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (80593657)
岡内 三真 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90093210)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東北地方 / 縄文時代 / 貯蔵 / 加工 / 中国民族調査 / 中国・太湖 / 野生植物利用 / 伝統技術 |
研究概要 |
平成24年度は、科研費初年度ということで、各調査地における予備調査、そしてそれを基盤とした、科研費メンバーの情報・意見交換による研究方針の明確化を活動目的とした。その目的は、ほぼ達成することができた。 研究計画の二本の柱である考古学調査と民族調査のうち、前者の考古学調査では、調査担当にあたる細谷(研究代表者)、中村・渋谷(研究分担者)が、計二回にわたり調査対象地である東北地方で予備調査を行った。東北地方では、特に青森県・岩手県の縄文時代遺跡に関する予備調査を目的に、秋田県埋蔵文化財センター、北秋田市教育委員会、青森県埋蔵文化財センター、青森県立郷土館、特別史跡三内丸山遺跡を訪問し、各担当者との話し合いによる調査許可の取り付け、また考古資料・報告書の視察を実施した。予定する調査の一環である、縄文時代加工具(石皿、土器)の付着デンプン粒分析に関しては、担当の渋谷が試行的な分析作業も行い、結果を出すことができた。この予備調査によって、次年度以降の実際の調査・分析作業の基盤は十分に作れたと思われる。 研究計画のもう1本の柱である民族調査では、楊(研究分担者)が太湖周辺での予備調査を実施し、現地での伝統文化における植物栽培と野生植物の利用の関係について、情報を収集した。中国と日本の間の政治紛争のため、予定していた細谷の中国渡航、特に昆明植物研究所における民族植物資料の視察は実施できなかったが、これはその分の経費を次年度に繰越し、次年度に行うこととした。この遅れは、全体としての研究活動の遂行にとっては、大きな問題とならないと思われる。 さらに、年度末には全科研費メンバーが一同に会するミーティングを実施し、24年度の予備調査の成果を発表し合い、情報・意見交換をするとともに、議論を尽くして今後の研究方針を明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、予備調査による基礎データ収集、およびそれに基づいた、研究代表者・分担者・協力者の情報・意見交換によって、研究の方向性を明確にすることを目的にしていた。 調査の二本の柱である考古学調査・民族調査のうち、前者の考古学調査、すなわち、日本の東北地方における縄文時代中期~後期の貯蔵施設と加工具に関する調査では、細谷(研究代表者)・中村・渋谷(両名とも研究分担者)が二度にわたって現地に赴き、主要遺跡の調査を担当する各地自治体と話し合いを行い、調査協力の意を取り付けるとともに、調査の一環である加工具の付着デンプン粒分析については初期的分析も行い、結果を出すことができた。 民族調査、すなわち、中国の太湖周辺における民族調査および昆明植物研究所の民族植物データの下見については、日本と中国の間の政治紛争により、予定していた細谷の中国渡航はできなかったが、楊(研究分担者)が太湖周辺の予備調査を実施し、基礎資料を収集することができた。 また、年度末に全研究メンバーのミーティングも実施し、予備調査の成果を発表し、意見を交換することで、この先2年間の活動方針を明確にすることができた。 上記の理由により、研究計画はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、当初の計画通り、平成25年度は調査・分析を集中的に行い、最終年度である平成26年度は、国際的な研究交流を含む、研究成果の発表を主とする予定である。 平成25年度の調査・分析作業においては、まず日本の東北地方における縄文時代中期~後期の食料加工・貯蔵に関して、青森県・秋田県の考古遺跡を中心に作業を進める。平成24年度の予備調査を通して、複数の現在発掘中の遺跡において調査・分析ができる許可をとりつけたので、細谷(研究代表者)、中村・渋谷(研究分担者)、瀬口(研究協力者)が、数次現地に赴き、サンプル採集・資料収集を行って分析をする。担当は、細谷が大型植物遺存体、渋谷が古デンプン粒(遺物に付着)、中村・瀬口が、多変量解析、データベース作成である。この作業によって、年度末までにはまとまった解釈ができるようなデータが揃うようにする。 中国・韓国の新石器時代の加工・貯蔵に関する資料収集については、平成24年度末に当科研費メンバーの合議によって明確化した研究方針に伴い、岡内(研究分担者)・久保田(研究協力者)が、発掘報告書を主体とした資料収集を進める。必要に応じて現地視察を行う。これについても、年度末までには成果をまとめる。 中国における民族調査については、楊(研究分担者)は、平成24年度の予備調査の成果に基づいて、太湖周辺の伝統的生業を営む人々を対象に、とくに野生植物の加工技術と貯蔵技術に関する民族調査を実施する。そのため現地に1~2回の渡航を行う(初回は7月予定)。細谷は、昨年実施できなかった、昆明植物学研究所における民族植物学データ視察を実行する(7月予定)とともに、楊と合同での民族調査も行う。 平成26年度には、これらの成果をまとめ、報告書・英語論文の出版、滋賀県立琵琶湖博物館の特別展示と連携した国際シンポジウムにて、発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、前年度の予備調査の成果と、全研究メンバーで合意した研究方針にのっとって、考古学調査、民族調査ともに、実際の資料収集・分析作業を主な活動とする。そのため、研究費は各調査地への旅費、分析に要する器材などの経費のために使用する。 考古学調査においては、調査地の東北地方(主に青森県、秋田県)へ、細谷(植物遺存体分析担当)、渋谷(古デンプン粒分析担当)、中村・瀬口(多変量解析、データベース作成担当)らが各2~3回赴くための旅費、および、植物遺存体・古デンプン粒分析に必要な器材、データ解析に必要なプログラム経費において研究費を使用する。加えて、中国・韓国の新石器時代データの集成を担当する岡内・久保田が、資料収集のための書籍代・複写費、また各1回の現地渡航の旅費として研究費を使用する。 民族調査については、楊が民族調査地である中国・太湖周辺に2回程度渡航する旅費、また細谷が、楊と同じ調査地、および昆明植物学研究所に渡航する、計2回の中国渡航の旅費として、研究費を使用する。
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