研究課題/領域番号 |
24520877
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研究機関 | 公益財団法人古代学協会 |
研究代表者 |
鈴木 忠司 公益財団法人古代学協会, その他部局等, 研究員 (90072719)
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キーワード | 礫群 / 礫群使用回数推定法 / 岩宿時代 / 集落遺跡解析法 / 火処(火焚き場) / 受熱石器 |
研究概要 |
平成25年度は、研究会3回、資料調査17遺跡(研究協力者単独調査を含む)、石蒸し調理実験(最終年)を実施した。資料調査と実験は順調に進んだ。 詳細分析対象としている4遺跡(1.法政大学多摩校地A-0地点、2.高見丘(磐田市調査地点)、3.千葉県東林跡遺跡、4.茨城県赤岩遺跡)のうち、1.多摩校地A-0地点は資料操作を終え、分析とその結果の記載に入っている。2.高見丘については資料調査をおえ、記載と分析に入ろうとしているが、調査主体者から分布位置に関するデータの提供が遅れ、分析段階に入れずにいる。また、3.東林跡と4.赤岩の2遺跡は、現在遺物を借用し、勤務先で資料検討をしているが、このうち赤岩の資料操作はかなり順調に進み、かなり早く分析に移行できる見通しである。一方、科研費受給前から資料分析をつづけている東林跡の方は、資料の破損が激しく、資料操作に苦戦している。 研究の主目的は、これまで集落分析に際してほぼ無視されてきた礫群を交えて考察すると、どのような集落像が描けるかというところにあるが、東林跡を除く3遺跡は次年度中に概ね分析、記載に移行できる進捗状況にある。 なお、集落像の解析にあたり、火処・炉(火焚き場)問題の重要性が高まり、受熱石器の追及が欠かせないことが強く意識されるようになり、本年度の石蒸し調理実験の際に、急遽石器石材に対する加熱実験を予備的に行うことにした。この点は、新たな分析視点として今年度から加えたものなので、研究の発表スケジュールに多少影響するかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析対象として選んでいる先記4遺跡(1.法政大学多摩校地A-0地点、2.高見丘(磐田市調査地点)、3.千葉県東林跡、4.茨城県赤岩)のうち、3.について、調査主体から遺物の出土位置に関する情報提供が遅れ、詳細分析に入れるのが、かなり遅れる情勢であること、今年度から石器石材の加熱実験が加わって、分析事項が増えたことが主要因である。 4.については予想以上に作業が進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度からは、5番目に分析対象遺跡として高見丘(静岡県調査地点)を加えることにした。また、石器石材の加熱実験の結果を応用して、火焚き場の問題に迫るという新要素が加わることにもなったが、全体として石蒸し調理実験結果の成果を援用して、集落分析を押し進める課題にとって、資料操作の段階は終わり、本年度からは基本的に分析、記載に移行する。当初のほぼ計画通り、ただそれに専念する条件が整い、その段階にきていると認識している。
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