研究課題/領域番号 |
24520878
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
塚本 敏夫 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30241269)
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研究分担者 |
小村 眞理 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 甲冑 / 小札甲 / 人形 |
研究概要 |
研究内容 東アジア出土の小札甲で、日本列島での古墳時代から平安・鎌倉時代の大鎧成立までの時期を対象に(1)東アジアおける札甲を装具が一括で出土している基準資料を再検討し、その資料を基に比較検討して再整理していく。特に、①裲襠式が古墳時代から存在したのか、②綿襖甲が本当に存在したのか、③鉄革併用甲がどの位存在していたのかの3点を重点的に解明する。(2)日本列島での律令期の鉄甲から革甲への変化による堅固性の評価を復元模造品による比較実験をして検証する。最後に(3)鉄製人形ないし祓いのための祭祀具としての小札の調査を行う。甲冑の埋納形態の再調査をして、半島や大陸との比較検討を行う。 研究成果 今年度は(1)韓国慶州のチョクセム地区C10号墓出土品(5世紀)の詳細な調査を行い大きな成果を得た。また、志段味大塚古墳出土小札甲(5世紀)、塚本古墳出土小札甲(7世紀)、東大寺鎮壇具の小札甲(8世紀)の調査を行った。調査の結果、東大寺の小札甲は附属具を伴わないことが判明し、国家珍宝帳での認識では『挂甲』であり、所謂『除物』の可能性が出できた。また、小札甲を着装した状態で火山灰に埋まった金井東裏遺跡出土品(6世紀)は火山噴火に対する鎮めの可能性が高く、その発見の意義は大きい。(2)実験用に小札甲3種類と短甲1種類の武具と鉄鏃3型式の武器を作製した。堅固性の比較実験は来年度を予定。(3)鹿ノ子C遺跡出土小札の調査を行い、従来いわれていた小札生産を行っていただけではないことが断片的にわかってきており、次年度に本格的な調査を予定。また、金木場遺跡出土の小札を調査して、使用されていた小札を立ち切って置かれた住居片付けに伴う祭祀的な埋納の可能性が考えられ、大倉幕府周辺遺跡群の井戸出土の鎖帷子籠手を調査し、やはり井戸の片付けに伴う祭祀的な埋納の可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国の原三国時代の一括資料の調査と日本の古墳時代中期、奈良時代、鎌倉時代の一括資料の調査を行えて小札甲の変遷に関する調査の基礎資料が揃いつつある。但し、古墳時代後期の一括資料である藤ノ木古墳出土品の調査が申請しているが進展していないため、次年度以降に期待したい。 また、祭司具としての小札甲、小札に関しては新資料の発見や旧資料の再評価で当初の予定より早いペースで研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)小札甲の変遷に関しては、次年度は韓国での統一新羅時代を含む小札甲の調査を行い、日韓の比較研究が行える程度の研究資料の蓄積を行いたい。日本では再度、藤ノ木古墳出土品の調査を申請して実現したい。また、次年度は革小札併用小札甲の調査として、大和二塚古墳出土品等の調査を行う予定である。 また、綿襖甲の調査として太宰府政庁跡出土品の再調査と秋田城跡出土品の調査を行う予定である。 (2)鉄甲から革甲への変化による堅固性の評価を復元模造品による比較実験を6月に行う予定で、その結果を東アジア保存修復学会で発表する。 (3)鉄製人形ないし祓いのための祭祀具としての小札の調査では鹿ノ子C遺跡出土小札の本格的調査を行う予定である。また、古墳や古代寺院以外から出土した金木場遺跡出土の小札甲や谷山北地区遺跡出土の小札甲の調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は韓国での海外調査を慶州地区と公州地区の2度(1度は慶州での東アジア文化遺産保存学会発表含む、学会には研究分担者だけでなく、連携研究者と研究協力者2名の参加を予定)を予定しており、海外旅費に研究費を大きく割く予定である。また、国内調査でも秋田城跡や多賀城跡他東北地方と九州太宰府政庁跡他の九州地方に複数回資料調査を予定しており、国内旅費にも研究費を大きく割く予定である。 そのため、次年度の調査旅費を確保するため、未使用金を約40万弱残して、次年度の調査旅費に当てる予定である。 また、国内調査でも秋田城跡や多賀城跡他東北地方と九州太宰府政庁跡他の九州地方に複数回資料調査を予定しており、国内旅費にも研究費を大きく割く予定である。 出張調査時の調査観察用のマイクロスコープを新規購入する予定である。 また、復元模造品による比較実験を行う予定であり、模造品製作費と実験用機材と記録用カメラ・ビデオ機器の物品を購入する予定である。
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