• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

東アジアにおける小札甲の受容と展開ー日本古代の甲冑を中心としてー

研究課題

研究課題/領域番号 24520878
研究機関公益財団法人元興寺文化財研究所

研究代表者

塚本 敏夫  公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30241269)

研究分担者 小村 眞理  公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
キーワード小札甲 / 小札 / 人形 / 不明鉄製品 / 武具祭祀 / 甲冑
研究概要

(1)東アジアおける札甲を装具が一括で出土している基準資料を再検討し、その資料を基に比較検討して再整理
明治大学所蔵の長野県大室古墳群186号墓出土小札甲(6世紀)と岡山県八幡大塚2号墳出土小札甲(6世紀)が調査により、新たに鉄革併用小札甲と判明した。鉄革併用小札甲が6世紀後半には広範囲に流通していたことが明らかとなり、大きな成果を得た。
(2)日本列島での律令期の鉄甲から革甲への変化による堅固性の評価を復元模造品による比較実験をして検証
小札甲3種類と短甲1種類の武具と鉄鏃3型式の武器での堅固性の比較実験を行い、革製が思った以上に堅固であること、革紐より組紐が堅固であることが判明した(韓国慶州での東アジア保存修復学会と山口大学での第10回 古代武器研究会で発表)。来年度も漆塗革小札を加えて追加実験を予定。
(3)鉄製人形ないし祓いのための祭祀具としての小札の調査を行う。甲冑の埋納形態の再調査をして、半島や大陸との比較検討
小札祭祀は火山噴火の鎮め祭祀と考えられる群馬県宮田諏訪原遺跡(6世紀)で確認でき、6世紀まで遡ることが判明し、近接の金井東裏遺跡出土品(6世紀)は単体で出土したもう一領の小札甲に伴う骨製小札の発見があり、その意義は大きく韓国の夢村土城出土事例(4世紀)とともに、次年度以降調査を行う予定である。また、鹿ノ子C遺跡出土品(8世紀)の本格調査を行い、祭祀用と思われる鉄器の生産も行っていたことが明らかとなった。その類例調査として、奈良県の小山2号墳や岡山県の上相遺跡で類似の不明鉄製品が確認でき、全国的な広がりがあることが断片的にわかってきた。また、韓半島での百済地域に小札祭祀が散見されることが海外調査で判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

鉄革併用小札が思っていた以上に多く広範囲に分布していることが調査で解って来た。
また、小札や武具が古墳時代以降祭祀具の一部として利用されてきた実態も見えてきた。
また、武具の強度試験でも、革小札が矢に対してある程度堅固性があること、また、革以上に組紐が強度的に優れていることが新たに判明しており、当初の研究目的は達成出来る見通しが立った。

今後の研究の推進方策

(1)小札甲の変遷では基準資料となりえる藤ノ木古墳や南塚古墳出土品が調査出来ないため、別の基準資料となりうる遺物を制定して調査を行い研究を進めていきたい。
(2)強度比較実験では新たに漆塗り革小札と組紐での水準を加えて追加追加実験を行う予定である。
(3)小札祭祀の実態解明のため、さらに調査を進めていきたい。
また、新たに人形とは別の形態の不明鉄製品の実態が解ってきており、律令祭祀の導入や系譜について再検討が必要であることが解ってきており、小札祭祀が散見される韓半島百済地域の資料調査をさらに進め、中国大陸での状況を文献調査を中心に進めていきたい。

次年度の研究費の使用計画

昨年度、実施予定の追加武具強度実験における実験用の小札モデルの仕様が確定しなかったため、その製作委託費用を次年度に繰り越したため。
今年度は追加武具強度実験を6月に予定していおり、その製作を外注する。調査は海外では韓国百済地域での資料調査を予定しており、中国への資料調査も計画している。国内では震災復興のため自粛していた秋田城や多賀城他の東北地方での資料調査を計画して使用する。
また、報告書作成に向けてデータベースの作成のためアルバイトを雇用予定である。報告書作成に100Pで300部の印刷費を使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 古代・中世における武具埋納祭祀の具体相2014

    • 著者名/発表者名
      塚本敏夫
    • 学会等名
      日本考古学協会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      20140517-20140518
  • [学会発表] 大室古墳群出土の武具の再検討  ―186号墳出土小札甲の再整理を中心として―2014

    • 著者名/発表者名
      塚本敏夫・中村新之介
    • 学会等名
      日本考古学協会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      20140517-20140518
  • [学会発表] 武具の変遷と防御性の検証実験2013

    • 著者名/発表者名
      塚本敏夫・小村眞里・初村武寛・田中由理
    • 学会等名
      古代武器研究会
    • 発表場所
      山口大学
    • 年月日
      20131201-20131202
  • [学会発表] 武具の変遷と防御性の検証実験2013

    • 著者名/発表者名
      塚本敏夫・小村眞里・初村武寛・田中由理
    • 学会等名
      東アジア文化遺産保存学会
    • 発表場所
      韓国慶州
    • 年月日
      20130905-20130906
  • [学会発表] 東アジアにおける出土有機質の保存と復元の意義-ループ操作技法を用いて再生した古代の組紐2013

    • 著者名/発表者名
      小村眞理・塚本敏夫・山田卓司・木沢直子
    • 学会等名
      東アジア文化遺産保存学会
    • 発表場所
      韓国慶州
    • 年月日
      20130905-20130906
  • [学会発表] 古代・中世の武具祭祀

    • 著者名/発表者名
      塚本敏夫
    • 学会等名
      全国埋蔵文化財法人連絡協議会 近畿ブロック会議
    • 発表場所
      大阪府立弥生文化博物館
  • [学会発表] 保存科学が解き明かす古代の鉄器生産技術

    • 著者名/発表者名
      塚本敏夫
    • 学会等名
      岡山県古代吉備文化財センター
    • 発表場所
      岡山県立図書館
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi