平成26年度は(1)と栃木県益子天王塚古墳出土小札甲(6世紀)の調査を行った。草摺裾札には革小札の痕跡あり、腰札、竪上最上段には革小札の痕跡は確認できず。現状では、鉄革併用であることは確認できたが、構成の同定は出来なかった。明治大学所蔵の長野県大室古墳群186号墓出土小札甲(6世紀)の鉄革併用小札甲の実態解明を行った(考古学協会で発表)。鉄革併用小札甲が6世紀後半には広範囲に流通していたことが明らかとなり、大きな成果を得た。 (2)昨年度行った堅固性の比較実験を行った結果と実験での鉄小札の貫通状況が小札に残る”矢傷”の痕跡と指摘されてきた善通寺市王墓山古墳出土品と痕跡が酷使していること、従来の指摘以外にも多様な傷痕跡があることが判明した(日本文化財科学会で発表した)。 (3)小札祭祀は横浜市北川表の上遺跡40号焼失住居(6世紀)出土の草摺裾札が火災の片付け祭祀と確認でき、また、宮城県原田遺跡のSI30焼失住居(8世紀)出土の小札群が3型式以上の小札からなり、大宰府製政庁跡と同様の火災の片付け祭祀と確認できた。また、我孫子市野守遺跡の住居跡から無腕式人形2点(1次6号竪穴、5次2号竪穴)と小札転用人形(11次2号住居)が畿外で初めて確認できた。
|