古墳出土の木棺に使用された鉄製鎹の出土状態、付着した材のあり方、鎹そのものの変形などの情報を集成した。それらの情報をパターン化して整理、検討することで、鎹の具体的な使用法と木棺の構造や形態を復元する方法論を確立することができた。木棺における鎹の使用法には、中期古墳に特有のあり方と後期古墳に特有のあり方があり、棺形態の上でも、前者は割竹形木棺・長持形木棺、後者は釘付式木棺を主体とする点で差異があることを明らかにした。また、前者の使用法は、朝鮮半島東南部の木槨墓や石槨墓に顕著に見られるあり方と共通し、深い関連性がうかがわれた。
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