研究課題/領域番号 |
24520882
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
青木 敬 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (10463449)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 土木技術 / 古墳 / 寺院 / 官衙 / 都城 |
研究実績の概要 |
当該年度は、前年度から引き続いて発掘調査から得られた古代土木技術が判明した成果の収集をおこなった。とくに韓国については、現地へ赴いて発掘調査担当者からの聞き取りや意見交換をおこない、情報の整理をすすめた。日本における事例収集においても、古墳の墳丘構築法や寺院基壇の構築方法を中心に発掘調査担当者との意見交換を適宜実施する、あるいは発掘調査現場で検討するなど事例の蓄積および詳細な情報の収集に努めた。当初計画していた地域での事例収集の作業は、当該年度をもってほぼ終えることができた。 当該年度における研究成果の発表として、現在までに得られた知見をもとに、古墳については2014年12月に「城の山古墳の墳丘構造」(第3回城の山古墳シンポジウム)、寺院基壇の版築技術については「日本古代の土木技術 ― 版築が来た道 ―」(第337回帝塚山大学市民大学講座)にて発表をおこなった。さらに、都城や官衙における研究成果をもとに『古代官衙』(ニューサイエンス社)の「中央官衙」の項を執筆した。「中央官衙」では、主要殿舎が格式に応じた構成をとり、そのなかで掘込地業の有無などが格式とかかわる可能性を指摘した。くわえて、官衙に用いられた土木技術が、時代が下るにつれて次第に合理性や軽量化などを志向するようになっていたことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事例収集の面では、ほぼ所期の目的を達成した。くわえて研究成果も古墳や寺院、官衙、都城について公にすることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
事例の収集をほぼ終えたので、最終年度である今年度は、総合的に事例の検討を進め、研究の総括をおこなう。とくに、古墳について中国や朝鮮半島の動向をふまえつつ、東アジア史的観点から土木技術などへの歴史的評価をおこなうこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた額より旅費が下回ったこと、および最終年度の研究成果のとりまとめをおこなうため、必要な物品費や調査旅費等を計上する必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
集成した事例のデジタル化および中国・韓国への聞き取り調査を実施し、研究の総括へ向けて計画的に使用することとする。
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