研究課題
本研究は,積雪寒冷地の都市内部で生起した「人口の都心回帰」現象による構造変容と,都市住民の防災や災害時避難との関係について,ジオマイクロデータとGISを用いた分析を行った。本研究の分析対象地域は,北海道の札幌市および釧路市とした。土地利用および人口の分析から,これらの都市では災害リスクのある都心部で,集合住宅の建設が進められ「都心の人口回帰」現象が生起していることが確認できた。この増加する人口に対して,都心部における避難施設の数はほとんど変化していないため,避難場所の容量不足がもたらされていた。特に,都心部全域が津波浸水想定域に含まれる釧路市では,その不足が深刻であった。また,住民の避難行動の分析から,積雪寒冷地の冬季環境により歩行速度が遅くなるため,津波到達までに避難場所にたどり着けない避難困難人口が増大することも明らかになった。このように本研究は,「人口の都心回帰」現象による構造変容が,災害時の避難に大きな与える影響を与えることを明らかにした。なお,本研究では,上記分析のために,建物単位での土地利用データや疑似避難訓練の移動履歴データなどのジオマイクロデータを収集し,それをGISで分析するための手法を開発した。特に,疑似避難訓練の移動履歴データに関してはネットワーク空間上でボロノイ領域分割をおこなったり,バッファ生成を行ったりする技術を開発し,それによって,これまでよりも詳細な避難困難人口の推定を行うことができた。
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