研究実績の概要 |
エスニック集団が「自分たちの場所」を再構築する過程において、Giddensの近代性に関する理論を援用して、在日インド人社会が再編成されている現状を分析した。グローバルシティ・東京におけるインド人はIT技術者とその家族を中心に増加し、日本最大のインド人集住地である江戸川区西葛西を中心に、インド人学校・インドの寺院の建設や日本人によるインド人街の設立など新たな動きが認められた。 一方、伝統的なインド人集住地である神戸市北野においては、インド人商人とインド料理店経営者とその家族が中心となっているが、ここでも近年ネパール人によるインド料理店の増加が認められる。インド人料理人経営者のインド料理店とネパール人経営のインド料理店とは、料理の質(何を持ってインド料理とするのか)の大きな違いがあり、お互いが競争相手でもあり、軋轢を生みつつある。二つの国の料理店経営の方針は大きく異なり、それぞれ母国との関連性の差異が大きく関わっている。 これらを調査分析した結果、次の成果が得られた。澤(2015)「グローバル化にともなう空間の再編成ー脱領域化と再領域化の両義性」岡橋・友澤編『現代インド4 台頭する新経済空間』東京大学出版会、澤(2015)「外国人労働者」上野和彦他『地理学概論 第2版』朝倉書店,澤(2014)「インド系移民」「世界民族百科事典』丸善出版、澤・南埜(2012)「日本のインド人」立川他偏『南アジア (朝倉世界地理講座―大地と人間の物語』 朝倉書店、澤(2011)「グローバル化とインド系移民社会-脱領域化と再領域化の概念の提唱」山下編現代のエスニック社会を探る―理論からフィールドへ』学文社が刊行された。SAWA (2013): Spatial Reorganisation of the Indian Community Crossing Border :A Case Study of the Global City Tokyo. Japanese Journal of Human Geography, 65-6.(査読付き)の論文が刊行された。
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