研究課題/領域番号 |
24520890
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
西村 雄一郎 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90390707)
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研究分担者 |
瀬戸 寿一 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (80454502)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カウンターマッピング / クリティカルGIS / 地理情報システム(GIS) / 自然災害 / 参加型GIS(PGIS) / 理論 / 実践 / 市民 |
研究概要 |
まず,特に海外を中心とするカウンターマッピングの状況についての事例収集,またその理論的な位置づけに ついて以下の2つに分けられる調査を実施した. (1)海外・日本のカウンターマッピングに関する事例の収集・分類:海外・日本でのさまざまなカウンターマッピングに関する事例を収集を行った.欧米や日本などの先進国で行われているカウンターマッピング,途上国で行われているカウンターマッピングの両者に関する事例を網羅的に収集し,それらの目的・作成主体・地図作成に利用したシステム・政治的な結果などの面から分類・整理を行った. (2)欧米のクリティカルGIS研究におけるカウンターマッピングの理論的な位置づけ:カウンターマッピングは,従来の研究ではクリティカルGISの核のひとつをなすPGIS(参加型GIS)のひとつの形態として位置づけられており,理論と実践の間をつなぐ重要な位置を占めるものであると考えられている.近年出版や公表が相次いでいるクリティカルGISに関する各種の論文・書籍などの整理によって,カウンターマッピングの理論的な位置づけに関するレビューを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担としては,西村が研究全体の統括を行い,特に途上国を中心とするカウンターマッピングの状況につ いての事例収集,またその理論的な位置づけについて整理を行った.また,瀬戸は日本・英語圏を中心とするカウンターマッピングの状況についての事例収集や理論的な位置づけに関する議論のレビューを行った. 研究代表者・分担者2名とも,研究1年目より収集したデータに基づく学会発表などを精力的に行っており,順調に研究が進展し,成果発表も随時なされているものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2年目には,昨年度アプローチが限られた特に東日本大震災を契機に始まったカウンターマッピングについて福島県を中心とする東北地方・関東などの被災地域の事例調査を進める. 1)webによって,公開・共有されているデータの分析:カウンターマッピングによって,作成されている地図の多くは,インターネット上で表示・印刷可能な画像として公開されている場合,またデータを共有可能な枠組みの下で作成された地図では,データの作成日時・内容・作成者の情報を閲覧・収集できたりする場合などさまざまな形態がみられる.カウンターマッピングを目的とした地図がどのように作成されたのか,利用したシステムやAPIの詳細,またどのようなユーザがいつどのような情報を作成したのかについてインターネット上に存在するデータ収集を行う. 2)現地インタビュー調査などによるデータ収集・分析:カウンターマッピングは,トップダウン型の地域復興や新しい地域計画に対する不満,また災害などの現象に関する行政や研究機関が発表するデータへの不信などが根底にあり,個人が考える望ましい生活空間のあり方,安全・安心を求めるために作成されているものなどがある.どのような主体がこういった地図を作成しているのか,どのような手段でデータを収集し,地図を作成しているのか,作成した地図の活用方法などに関して詳細なインタビュー調査を行う.同時に,行政や研究機関が作成した地図についてもその目的や作成方法などに関するインタビュー調査を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は、研究に関連する消耗品や調査を概ね予定通り実施することができたものの、本科研で購入予定だった専用のPCを用いた解析段階には至らず購入を見送った。 本年度は当初計画にあったH25年度計画との大幅な変更はないものの、昨年度未購入だった解析用のノートPCまたは同等の機能を持つレンタルサーバー(いずれも15万円程度)での執行を計画する。
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