研究課題/領域番号 |
24520890
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
西村 雄一郎 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90390707)
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研究分担者 |
瀬戸 寿一 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (80454502)
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キーワード | 地理情報システム(GIS) / 自然災害 / カウンターマッピング / 東日本大震災 / 参加型GIS / 参加型マッピング |
研究概要 |
東日本大震災を契機に始まったカウンターマッピングについて福島県を中心とする東北地方・関東などの被災 地域の事例を取り上げ,調査を行った.この調査は,以下の2つに分けられる. 1)webによって,公開・共有されているデータの分析:カウンターマッピングによって作成されている地図の多くは,インターネット上で表示・印刷可能な画像として公開されている場合,またデータを共有可能な枠組みの下で作成された地図では,データの作成日時・内容・作成者の情報を閲覧・収集できたりする場合などがあり,カウンターマッピングを目的とした地図がどのように作成されたのか,利用したシステムやAPIの詳細,またどのようなユーザがいつどのような情報を作成したのかについてインターネット上に存在するデータ収集を行った. 2)現地インタビュー調査などによるデータ収集・分析:カウンターマッピングは,トップダウン型の地域復興や新しい地域計画に対する不満,また災害などの現象に関する行政や研究機関が発表するデータへの不信などが根底にあり,個人が考える望ましい生活空間のあり方,安全・安心を求めるために作成されているものなどがある.どのような主体がこういった地図を作成しているのか,どのような手段でデータを収集し地図を作成しているのか,作成した地図の活用方法などに関して詳細なインタビュー調査を行った.また,行政や研究機関が作成した地図についてもその目的や作成方法などに関するインタビュー調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担としては,西村が研究全体の統括を行った.特に現地インタビュー調査などによるデータ収集・ 分析を担当した.瀬戸はwebによって公開・共有されているデータの分析を中心に行った. 研究代表者・分担者とも,収集したデータに基づく学会発表などを精力的に行っており,順調に研究が進展し, 成果発表も迅速になされているものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
3年目は2年間の調査研究をとりまとめる.収集したカウンターマッピングの事例を,海外の事例と比較し,公開された地図のスケールや描かれた地物,データの解像度,それらの表象の方法などの面から東日本大震災を契機として行われたカウンターマッピングの特質について議論を行う.またカウンターマッピングがどのような政治参加の形を現実にもたらしているのかについても考察を行う. 研究分担としては,瀬戸がwebによって公開・共有されているデータの分析を引き続き進める.西村が研究全体の取りまとめを行う.特に最終的な研究の総括となるカウンターマッピングの意味に関する考察については,瀬戸と随時議論を行いながら進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度の当初予算額ならびにサーバ構築にかかわる費用などの物品費において前年度未使用額が生じたため,次年度に使用することになった. H25年度は、研究に関連する消耗品や調査を概ね予定通り実施することができたものの、本科研で購入予定だった分析用のレンタルサーバによる解析が途上に有り,これらの執行を計画する。また最終年度の研究のとりまとめに向けて,研究代表者・分担者との打合せや現地調査活動,学会発表活動などのために旅費の割合を高くしている.
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