研究課題/領域番号 |
24520892
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
川田 力 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30263643)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ドイツ / 都市 / 商業 / 地理学 |
研究概要 |
本研究の目的は、ヨーロッパ諸国の都市との激しい国際的都市間競争下に置かれているにも関わらず、持続的に発展しているとされるドイツの中小都市を事例として、ローカルな社会空間構造の変容と都市マネジメント戦略の両面から商業集積地の存立構造を検討することにある。具体的には、各都市の行政組織の有する権限・政治的状況の差異、都市内部の各地区の社会空間構造の地域的差異、および、よりローカルな範囲でのステークホルダーの意識と対応の差異が、商業集積地の持続発展プロセスにいかなる影響を与えるのかを解明しようとするものである。 本研究は、都市の社会・経済的変化を端的に示すと考えられる商業集積地の存立構造に注目して、ドイツの中小都市において地方行政組織・都市マネジメント組織・商業組合・商業経営者、住民等の実態調査を実施することにより、都市間競争への対応と都市の持続可能性への対応という2つの政策課題の調整状況と、各ステークホルダーの協働的相互関係に基づく都市マネジメントの現状を把握し、商業集積地の存立構造に関わる地域的要因を解明しようとすることに特色がある。 本年度は、上記の目的を達成するため、ドイツにおける商業集積地に関する文献・資料を収集するとともに、ドイツを訪問し、研究協力者と会談して事例調査候補地区の選定に関する情報収集を行い、平成25年度以降に実施予定の現地調査プログラムについて詳細な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には、ドイツを訪問し、ドイツにおける研究協力者と会談して事例調査候補地区の選定に関する情報収集を行うとともに、ドイツにおける商業集積地に関する文献・資料の収集を実施した。また、ドイツの商業集積地の分析に有効な統計資料の所在および入手可能性についても確認することができ、平成25年度以降に実施する予定の現地調査プログラムについて詳細な検討が進んだ。以上のことが研究の目的の達成のための今年度の研究計画であったため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の計画で研究を進める。 1.事例調査地域の決定:事例調査候補都市を巡回し、行政資料の入手および現地観察を行うとともに調査協力が十分に得られるかどうかを確認し、事例調査都市を3都市程度に絞り込む。事例調査都市を3都市程度とするのは申請者のこれまでの調査実績から各都市での現地調査に約1週間、調査の事前準備に約3日間要すると判断し、申請研究期間中に十分な調査を完了しうる事例数を算出したことによる。 2.事例調査の実施準備 :既に事例調査の準備が進んでいるハイデルベルク市アルトシュタット地区およびベルクハイム地区での現地調査プログラムを参考にしつつ、最終的に決定した事例調査都市における現地調査実施プログラムを検討・選択する。 3.事例調査の実施:現地調査実施プログラムにもとづき、事例調査都市における社会経済的状況、商業集積地の概要、商業振興計画、都市計画、国際的な都市間の競争・持続的な発展への対応、地方行政組織の構造と保有権限、都市の政治的状況、自治的組織・住民活動パフォーマンスの状況などについての詳細な現地調査を実施する。具体的な調査は各都市における行政担当者、商業組合、商業経営者、住民代表、都市マネジメント組織などへの聞き取り調査及び資料収集を実施予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究経費の主な使用計画は以下のとおりである。 1.ドイツにおける現地調査の実施経費:本研究では現地調査によるオリジナルなデータ収集が極めて重要で研究成果の良否を左右することになる。そのため、調査・研究旅費及び研究補助(調査補助・資料整理・専門的知識の提供)のための謝金を支出する。尚、事前準備を適正に実施することにより、現地調査を短期集中的に実施し、経費の節減につとめつつ高い成果を上げる計画である。 2.都市商業地域関連の図書および商業集積地に関する統計データの購入:本年度の調査によって確認された本研究に関連する重要図書および、ドイツの商業集積地に関する統計データを購入し、分析の資料とする。 3.タブレット型PCの購入:現地調査の効率的な実施のために不可欠な機材で、当初は平成24年度に購入予定であったが、新OSの発売に伴い使用ソフトウェアの新OS対応状況が不明だったため、購入を次年度に延期したものである。
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