研究課題
これまでの調査を継続的に行った。具体的には、ラジャン川流域におけるイベント・ヒストリー、マイグレーション・ヒストリーに関する資料分析と現地調査、タタオ川流域における民族間関係に関する資料収集、および、クムナ川流域における生業変化と民族構成変化に関する現地調査である。ラジャン川・クムナ川流域に関しては、日本人や現地の多様な分野の研究者との共同調査も行った。それによって、これまで想定していたこととは異なる側面からの流域社会の捉え方に関するアイディアを得ることもできた。タタオ川に関しては、交通面や人脈面の制約等によって、現地調査は限られたが、官報などの史資料の収集によって情報収集を進めている。本年度は、隣接分野である人類学者や地域研究者との連携だけでなく、地形学者や水文学者、生態学者との共同調査も実施し、流域社会の生存基盤である植生環境に関する知見や、流域内/流域間の人々の移動の前提あるいは制約条件となる、地形的・地質的状況や流況に関する調査及び議論も行った。それらの一部は、国内外の学術雑誌や研究書(編書)への投稿・分担執筆をすすめつつある。内陸先住民(焼畑民・狩猟採集民など)の移動履歴や民族間関係に関する歴史的事実および政治的背景などについての議論だけでなく、それらの社会の存立条件となる流域の生態環境や物理的環境についての知識を導入することで、厚みのある流域社会論を展開する可能性を見出すことができた。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に進んでいる。一部地区においては、想定していた現地調査が困難であることが分かったが、次年度以降に再調整は可能であり、また、資料調査によって補完できる見通しも立てることができた。
各水系・流域に関する資料収集、現地調査による実態把握は、一定程度進んでいる。2015年度はタタウ川およびラジャン川における現地調査と補足的な資料収集を行うことで、全体的な議論の方向を形作る予定である。これに加えて、当初は予定していなかった地形・地質面での情報収集を行い、それらを移動の履歴や現在の生業形態などと関連付ける方策を見出すことを目標としたい。
タタウ川流域での現地調査を資料調査に切り替えたことにより、それらの現地調査に必要は物品の購入、調査の補助と情報整理のために予定していた謝金等の支出が一部なくなったことで、これらを次年度に繰越することとした。
現地調査を当初予定よりも増加させる。補足的な資料収集は予定通りである。これらの調査とのために一定額の旅費を支出し、調査補助および資料整理のための謝金も計上する。およその支出額は物品費15万円、旅費60万円、謝金20万円、その他16万7,740円と見込んでいる。
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マレーシア研究
巻: 3 ページ: 101-101
熱帯バイオマス社会
巻: 22 ページ: 10-13
Equatorial Biomass Society
巻: 8 ページ: 1-14