研究課題/領域番号 |
24520899
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
加藤 幸治 国士舘大学, 文学部, 教授 (10294498)
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研究分担者 |
加藤 和暢 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (40175279)
鍬塚 賢太郎 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (40346466)
宮地 忠幸 国士舘大学, 文学部, 准教授 (40339354)
大澤 勝文 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (30305247)
末吉 健治 福島大学, 経済経営学類, 教授 (50261722)
松橋 公治 明治大学, 文学部, 教授 (30165849)
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キーワード | サービス / 立地論 / 医療サービス / 時間地理学的制約 / ドクターヘリ / 急患輸送 / 道東 |
研究概要 |
本年度の理論的研究としては,コアメンバー全員での研究会を2回(4月・11月に実施),一部メンバーにての研究会を数回行った(9月,10月,2月など).協力メンバーも含めた研究打ち合わせや討論を通じて,理論的な研究の深化を図った.「サービスの特性が規定する立地の問題」,「サービスの立地を考えるための空間モデルの構築」などがキーワードであった.議論の中で,サービス立地論における「時間地理学的制約」が一つの柱となることを見出し,コアメンバーにおいて常に念頭におくべきキーワードとして共通認識した.こうした理論的研究の成果の一部は,本年度中に学会発表した.①加藤幸治:サービス立地論のための覚書.経済地理学会北東支部2月例会,2014年2月15日,阿寒湖まりむ館.②加藤和暢:地域構造論の反省.経済地理学会北東支部2月例会,2014年2月15日,阿寒湖まりむ館. また研究分担者が,関連分野の研究レビューを学会誌に発表した.③鍬塚賢太郎:学界展望 流通・交通・サービス.『人文地理』65,248-250,2013年6月. 実証的研究としては,研究目的にもあるドクターヘリの利用と医療機関の立地,人口集積との関係への注目から,ドクターヘリの運航や運用の実態を把握すべく,研究代表者が5月にドクターヘリ講習会に参加するとともに,8月に道東(中標津町・別海町・釧路市)で,10月に奥尻町で,関係機関への聞き取り調査や資料収集を行った.またドクターヘリの導入以前から急患搬送を担い,日本における航空医療の先駆けともいうべき自衛隊の急患輸送実績についても調査・分析を行い,その成果の一部は,年度末までにまとめおわり,学会誌(査読者付き)に投稿予定である(2014年度4月には投稿済みである).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度計画はおおむね順調に進められた. ただし,年度計画にあった福島県中山間地域における医療サービスの利用実態とそれに関する現地調査は,東日本大震災の影響から,それまで当該地域に関わりがなかった多くの研究者が訪れ,事情をよく知るがゆえに現地の協力依頼をしがたい事態が続いており,この点については研究計画の見直しを迫られている. 一方,日本における航空医療の先駆けともいうべき自衛隊の急患輸送実績調査は,年度初には十分な成果となるとは認識していなかったが,査読誌に投稿しうる成果となった.またドクターヘリに関する調査も,成果まとめがすぐにできる状態までの調査が行えたなど,予想外の進展もみられた.
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展しており,ドクターヘリ関連調査の研究成果まとめと発表を行っていく.ただし,いくつかの見直しも行う. 理論的に研究についてはコアメンバーによる研究会を行い,サービス立地論に関する仮説のブラッシュアップを図り,協力メンバーを含めた研究会を行う予定である.ただし,2013年度の学会発表における討論を顧みると,サービス立地論を関係研究者に理解してもらうための「障壁」は依然として高く,理論的研究の成果発表をいたずらに急いでしまうと,後年になって,より進化した理論を発表することが可能になった際に,混乱のもととなる可能性すらあるため,年度内における発表を必ずしも目指さすものではないというスタンスで行う. その分,実証的研究となる道東の中標津町の調査をコアメンバーは必ず訪問する形で進め,地誌的記述を中心とする現状分析を行い,その成果まとめ・発表に注力する.これは実証的研究の進展ということに限らない.特定地域の実態を明らかにすることで,議論の前提となっている「現実」を示し,それを学界の共通認識としてもらう.そのことを通じて理論的研究成果を発表した際における認識の「障壁」を低くしておくことが,基礎的研究という本研究の目的に適うと判断するからである. 福島県中山間地域における実態調査については,その進展の可能性を5月中には判断できるよう,検討し,場合によっては研究計画を見直す.
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次年度の研究費の使用計画 |
分担者が出席予定であった研究打ち合わせ出張に,本務との関係から,出かけられなかったため. 研究費の振り分け額の予定を変更し,分担者の次年度使用額は研究代表者に振り分ける.それを実証研究における調査のための旅費・人件費として使用し,研究の効率化・深化に役立てる.
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