1.中心的な課題論文の作成:最終年度は、フェアトレード認証を貧困削減と環境保全をつなぐ媒介役と解釈し、その可能性と限界を論じる論文草稿の作成が中心となった。草稿に基づき、3つの国際学会で発表し、地理学者及びその他の社会科学者と意見交換を行なった。いただいた意見を反映させる形でさらに修正を加えた論文を、国際ジャーナルに投稿。現在、審査中である。 2.英文書籍への執筆参加:本研究課題に取り組むにあたり、海外の研究者との交流・意見交換を重視してきたが、その過程で二件の英文書籍刊行プロジェクトに著者の一人として参画することができた。一件は、昨年度にすでに着手したHandbook of Research on Fair Tradeで、最終原稿を入稿し、出版に至った。他の著者の大半が欧米研究者である中、日本からアジアの視点を提供できたことは有意義なことと思料する。もう一件は、参加した国際地理学会議の南アジア・セッションから派生した形でSpringerのシリーズAdvances in Geographical and Environmental Sciencesの一冊としてEnvironmental Geography of South Asiaの発行が決まり、その一章を提供したことである。これまでに実施したインドの有機農業にかかる二つの事例研究を新たな視点から分析し直し、論稿を執筆。編集者へ第一稿を提出済みである。 3.投稿論文の修正:フィリピンの事例に基づくジャーナル論文は前年度から引き続き修正を重ね、ようやく受理の目途が立った。 4.補足現地調査の実施:このジャーナル論文完成のため、及び冒頭に記載した中心的な論文作成のために、2011年に現地調査を行なったフィリピン・ネグロス島を再び訪れ、補足調査を行なった。
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