発展途上国の農村開発における二つの重要課題、すなわち貧困削減と環境保全を同時に分析するための枠組みとして、フェアトレード認証が媒介役となり環境保全が貧困削減の手段の役割を果たす関係(仮説)を提案する。理論的な「手段・目的関係」が現実にはどのような状況下で機能するかを探究するために、①人間と自然環境との関係に焦点を当てた地理学文献のレビュー、②アジアの農業生産者グループとプランテーションの計4事例の比較分析を行なった。同「手段・目的関係」が機能するには、フェアトレードにより導入された手段と並行して存在するその他の手段(農業、非農業)との共存が不可欠であることが、結論の一つとして明らかになった。
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