研究課題/領域番号 |
24520901
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
吉田 道代 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (40368395)
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キーワード | 都市観光 / シドニー / 階級 / エスニシティ / セクシュアリティ |
研究概要 |
平成25年度には、文献資料の収集およびシドニーでのフィールド調査(10月11~14日)を実施した。今回のシドニー訪問は、本格的なフィールド調査に向けての予備調査にあたり、ゲイタウン(オックスフォードストリート)、労働者の抵抗運動の現場であるロックス、イタリア人集住地区のライカート(イタリアンフォーラムとその周辺)とファイブドックス、ベトナム系住民の集住地区であるフェアフィールド(カブラマッタ)の現状を視察した。ロックスは、ウォーキング・ツアーの行先に組み込まれることが多く、人気の観光地区となっている。ゲイタウンについては、先行研究では同性愛者に対する吸引力を失いつつあるという指摘があるが、ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラのシンボルの一つとなったオックスフォードストリートにおけるレインボーカラーの横断歩道の復活を求めるデモ行進が行われ、いまだにセクシャルマイノリティの政治活動の拠点として機能していることが伺えた。ライカートのイタリアンフォーラムについては、ほとんどのレストラン・カフェが閉鎖され、商業区としての衰退の著しさが確認されたが、イタリアンフォーラム周辺やファイブドックスの大通りでは、イタリア系住民による経営と思われる飲食店が多く見られた。ベトナム系住民の集住するカブラマッタは、1990年代には商業地区として発展しつつも犯罪多発地域として否定的にメディアでとり上げられる傾向にあったが、現在はオーストラリアの文化的多様性のシンボルとしてイメージが変化しつつあることが、視察および観光パンフレットを含む文献資料から明らかとなった。 これまでの研究成果の一部は、同性愛者とホスピタリティをテーマとする論稿として、シドニーを事例に同性愛者の活動が主流社会にもたらす経済的利益とホスピタリティの関係を論じ、4月に刊行された(青木義英他編『ホスピタリティ入門』(新曜社)所収)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備調査の実施が前年度から今年度になったため、当初の計画にあった聞き取り調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度9月にシドニーでのフィールド調査を実施する。ロックス、イタリアンフォーラムとカブラマッタ、ゲイタウンについて、関係者に面談の許可を取り付け、聞き取り調査を実施する。
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