研究対象の村は、かつては身分の異なる人々の住む二つ別々の村だったが、1950年代に一つの村に統合された。本研究では契と呼ばれる村の相互扶助組織の文書から、過去百年間の村の姿を読み解こうとした。 20世紀初頭以来組織運営されてきた8つの契の改編過程を再構成した。また文書の詳細な分析を通して、住民の移動(転出入)が組織に及ぼす影響、20世紀前半の二つの村の住民相互間、および異なる身分階層の人々の間の関係、一つの村への統合過程などを考察した。 その結果、これまでの韓国研究で自明視されてきた自然村概念、農村住民の定住性、両班-常民の身分関係の実態などについて、改めて検討し直す必要性が明らかになった。
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