研究概要 |
初年度の調査で得られた資料から、慣習村に含まれるバンジャール・パトゥス(互助組織)に所属しつつデンパサール市で職を得て移住している人々が、慣習村で現在行われている大規模な共同的な行事(村の寺院・社の修築儀礼)にどのように関わるか、そして、マタラム市在住のスラット郡の慣習村出身者による共同組織がどのようなものか、組織の構成、規則、会合などについてインフォーマントに聴き取り調査をすることを本年度の現地調査では目指した。 カランガスム県スラット郡の慣習村では、慣習村寺院の修築儀礼 (ngenteg linggih nubung daging)の準備が行なわれていた。本儀礼は10月から12月にかけて遂行されるが、その準備の儀礼がおよそ半年前から行われていた。1. ngaku agem karya (4/16), 2. nuasen karya, ngeruak, nanceb wewangunan など(6/23), 3. molong sunari (8/18), 4. melaspas pesucian (8/21), 5. nunas panca tirta (8/22)である。これに続く、準備儀礼である mendak isepan が調査期間中(9月15日)に行なわれたので、これに参加した。 慣習村成員とは、(修築儀礼が行われる)慣習村寺院の信徒であり、慣習村から都市に移住した者も、慣習村への帰属を続けている以上これに何らかのかかわりを持たざるをえない。慣習村では(移住者が所属し続けている)バンジャールを通じて、慣習村への寄付を求めている他、移住者もそれぞれの事情に応じて実際に儀礼の準備に関わっている。 ヌサ・テンガラ・バラット 州の州都マタラム市では、移住後も慣習村儀礼や慣習村の活動に深く関わっている者(一般に知識人層)へのインタビュー調査を行ない、移住者たちによって作られた組織について資料を集めた。マタラム市スラパラン区、北モンジョク村では、KAUH (Keluarga Arisan Umat Hindu ヒンドゥー教信者講組織)がヒンドゥー教徒のバリ人(移住者)によって設立されている。
|