研究課題/領域番号 |
24520913
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
関 恒樹 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (30346530)
|
キーワード | 文化人類学 / 社会政策 / 統治性 / 都市貧困 / フィリピン |
研究概要 |
平成25年度はフィリピン、マニラにおける現地調査と国内外における学会、国際会議での調査結果報告、そして論文投稿を行った。フィリピンでの現地調査は9月の2週間ほど、2月の2週間ほどで、前年度に引き続き、マニラ首都圏マリキナ市の都市貧困層地区で行った。条件付現金給付政策の実施過程を住民の生活世界、コミュニティに密着して観察するとともに、受益者住民の生活様式の変化、条件付現金給付政策への意見、そしてスラム共同体内やそれを超えた市民社会などをも包含する社会空間において、いかなる新たな社会階層関係のポリティクスが生成されつつあるのか、といった諸点に関して、インタビュー調査を中心に民族誌的資料の収集に努めた。また、受益者住民のみでなく、政策実施主体である国家特に社会福祉開発省のスタッフやソーシャルワーカーへのインタビューも試みた。さらに、大学図書館などにおいて、近年の条件付現金給付政策とその実施過程に関する新聞記事や報告書類の文献調査も行った。 これらの調査に基づき、その結果を、中間報告という形で、各学会、国際会議にて報告した。6月には慶応大学で開催された日本文化人類学会、8月にはマンチェスターにて開催された人類学民族学国際連合会議、11月にはシカゴにて開催されたアメリカ人類学会、そして2月には京都大学にて開催された国際フィリピン学会にて報告を行った。特に、2月の国際フィリピン学会にては、「フィリピンにおける『社会的なるもの』の変容-国家、市民社会、共同体の関係性に注目して」というパネルを組織し、アメリカ合衆国、オーストラリア、フィリピンから研究者をパネリストとして招聘し、パネル発表を行った。多くの聴衆を集め、有意義な議論が展開された。 なお、本年度の調査結果に基づいた英語論文を、国際学術誌に投稿し、現在査読中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた海外現地調査は諸般の事情で若干短縮せざるを得なかったものの、限られた期間内で十分な資料収集が可能になった。また、それに基づいて、国内学会、国際学会などの場で、研究発表を行い、有意義な意見交換をすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
9月に2週間ほどの補足的な海外現地調査を、フィリピン、マニラにて行う予定。また、12月に合衆国ワシントンDCにて開催されるアメリカ人類学会にて、条件付現金給付の各国比較に関するパネルが組まれ、そこにて報告を行う予定。これらに基づき、本年度中に論文をまとめ発表する。
|