研究課題/領域番号 |
24520915
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
稲村 務 琉球大学, 法文学部, 教授 (50347126)
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キーワード | 植物知識 / 薬草知識 / 中国 / ラオス / 台湾 |
研究概要 |
平成25年度は雲南省西双版納州を中心に調査を行った。また、同じハニ=アカ族の薬草知識の調査のため、ラオスと台湾でも調査を行った。さらに、比較例を得るために奄美大島でも調査を行った。デスクワークとしてはこれまでに得た調査データをもとにデータベースを拡充し、アカ語についてのトランススクリプト作業をすすめハニ語での言語データを比較できるようにした。また、周辺のイ族及び漢族の中薬知識を比較例を入力した。なお、これらのデータの一部は研究報告として発表している。 また、ハニ=アカ族の口頭伝承による分岐と移動についてのデータをまとめ、論文として執筆した。その論文をもとにして上記のデータベースを活用しながら報告や論文をまとめて執筆した。国立民族学博物館に提出した1論文「ハニ族と雲南イ族における薬草知識をめぐるポリティクス―ABS法と非物質文化遺産―」(本研究で最も重要な成果である)を除いてすべて刊行された。未刊行のABS法に関する論文と今年度6月にハニ族の棚田が世界文化遺産に指定された経緯の分析から中国政府の見えにくい政治的動きが浮かび上がってきた。また、本研究の成果の一部を入れて筑波大学人文社会研究科に博士学位請求論文として提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フィールドワークについては日中関係の悪化に伴い、不十分なところがあるが、他の比較例の調査が順調であり、悪化以前に収集したデータの蓄積も生かしつつ、当初の計画以上にデータの収集がなされ、それに伴う論文の執筆も少なくなかった。特に琉球大学の学内プロジェクトもあって台湾の研究から新しい視座を得ることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた研究成果を広く学界や市民に還元することと、雲南省とラオスの研究をさらに推し進めていきたいと考えている。日中関係には未だ不透明な部分が多いものの、他の研究機関等との関係は変化はないので中国は紅河民族研究所、ラオスはラオス国立大学、タイはチェンマイ大学、台湾は台湾大学などと連携して調査研究を進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
日中関係の悪化に伴い中国での学会(国際ハニ=アカ文化学術討論会)発表をキャンセルしたため使用できなかった。 同学会の主催の紅河民族研究所(雲南省蒙自)との関係は問題がないので、今年度に使用する。
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