研究概要 |
本研究は、西洋の研究者たちによって作り上げられた南アジアの贈与ダーナに関する研究蓄積の再検討を行うこと、さらに、非西洋の側からダーナ研究に対する学術的貢献を果たすことを目的としている。その具体的な策として、ジェンダー研究において、これまで非西洋社会のセクシュアル・マイノリティとして注目を浴びてきたインドのヒジュラに焦点を当てて、そのヒジュラに対してダーナとして与えられる贈与について現地調査を行う。 本研究の二年目においては、日本国内において研究発表を積極的に行った。まず、日本文化人類学会第47回研究大会(6月9日)では、「排他と歓待の分水嶺:ヒンドゥー女神寺院におけるヒジュラへの贈与行為に関する考察」というタイトルで、ヒジュラに対する贈与の意義についての研究発表を行った。そして、ヒジュラに関する研究成果を海外の研究者に向けて作成したペーパー'“Like will to Like” : Anomie of Childbirth and Anomic Group of Hijras of Gujarat, India'を、アムステルダム大学と京都大学との共催で行われた国際ワークショップ'ANOMIE IN ASIA' (11月16日-17日)において発表した。 また、年度末の3月には、インド、グジャラート州のバフチャラー女神寺院を再び訪れて、白の大理石によって建替えられた寺院の写真撮影を行い、さらに、ヒジュラに対するダーナ実践の現状や、女神寺院及び寺院周辺で生活する住民の環境変化等についての現地調査を実施した。
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