本研究は、安全保障及び海洋権益確保の点から国策において重要度が高まってきている所謂「国境離島」、具体的には沖縄県八重山諸島を対象として、住民の日常的実践という視点から「島づくり」の現状を明らかにしていこうとするものである。研究期間内における聞き取り調査、あるいはタウンミーティング等の住民との意見交換において、住民自らが島の文化形成に海洋環境が深く関わっていることを認識していることが明らかとなった。こうした島民の認識には、その背景に国家的海洋政策の影響がうかがえる。つまり島民が主体的に自然環境と島の文化を維持、継承することにより、「国境の島」としての特異性をより強化していくことになっている。
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