近年のタイを中心とする地域社会の動態は、特に都市部での政治的な対立を中心に、これまで主に制度論や統計を中心とする政治経済学的な分析から説明されることが多かった。本研究では、地域社会の動態に関する社会運動という視座に着目し、国家レベルのマクロな視点のみならず都市部と農村辺境部双方におけるミクロな相互行為の過程という視点からも調査究明を行った。特に、タイのタクシン元首相を対立軸とする政治的な社会運動やミャンマーからの移民労働者コミュニティ運動に焦点を当て、マクロとミクロ双方の視点を併せ持つ分析の重要性を明らかにした。
|