研究概要 |
現代日本社会における多様な問題状況を視野に入れつつ、子どもの権利論の基底に位置づく「子ども論・子ども学」を多角的に検討するという本研究は、以下の視点に沿って当該年度の研究が行われた。 ①領域別の観点を総合した観点から見た子ども論という視点。主として英語圏の子ども論・子ども学(Childhood Studies)についての基本的な文献を精読し、そこでの論点を整理した。具体的には、Alan Prout著 The Future of Childhood、Jens Qvortrup, William A. Corsaro, Michael-sebastian Honig 編著 The Palgrave Handbook of Childhood Studies、William A. Corsaro 著 The Sociology of Childhoodなどの著作から子ども論・子ども学に関する基本的な論点を整理した。 ②暫定的な中間報告として、「『子どもの権利』をめぐる関係性のありよう」を執筆した(神戸法学雑誌 第62巻1・2号 355-379頁 2012年9月)。当該論文においては、これまでの自分の研究のありようを振り返りつつ、子どもの権利論を深めるには権利論の視点だけでなく、総合的な子ども論・子ども学の視点こそが今後ますます重要になってくると論じられた。特に、普遍―特殊という視点や、観念の言説化という視点が重要であろうと強調された。
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