民法施行法(明治31年6月公布)の第10条は「民法中不動産上ノ権利ニ関スル規定ハ当分ノ内之ヲ沖縄県ニ施行セス」と規定していた。この規定(沖縄条項)は、明治39年3月に民法施行法中改正法律によって削除された。本研究は、この沖縄条項の制定と削除の経緯とその法的及び歴史的意義を検討した。沖縄条項制定の最大の理由は沖縄における旧慣土地制度の存在であったこと、沖縄条項の削除は沖縄県における土地整理事業の完成が前提であったが明治政府の政局の影響で約2年遅れたこと、不動産登記制度も沖縄条項の削除まで適用されなかったこと、不動産法の適用が沖縄の経済社会に大きな変化をもたらしたことなどを明らかにした。
|