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2013 年度 実施状況報告書

ポストモダンの法的思考―批判法学の実用化―

研究課題

研究課題/領域番号 24530006
研究機関京都大学

研究代表者

船越 資晶  京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70362548)

キーワード批判法学 / 法的思考 / ポストモダニズム
研究概要

本年度は、以下の研究を実施した。
第一に、本研究課題の目的である法的思考の発展図式「古典派→社会派→現代派」(以下「図式」)の一般化に向けて、その中核を成す日米契約法思考の比較系譜学に着手した。すなわち、「図式」の定礎者ダンカン・ケネディ教授の契約法解釈論に関する最近の著作について検討し、「図式」をアメリカ契約法学の史的展開の中で具体化するとともに、わが国の契約法学におけるこれとパラレルな史的展開を大まかに跡づけた。この研究成果に基づき、「法的思考の現代〔グローバル〕化/批判法学の実用化」と題する研究会報告を行い、研究会出席者から有益なコメントを得ることができた。
第二に、「図式」の社会的背景(法変動と社会変動の関係)に考察を進め、批判法学派内部のネオ・マルクス主義的法社会理論について批判的に検討した。この研究成果をまとめた論稿「ネオ・マルクス主義的法モデル再論」は、平成26年度中に刊行される共編著に掲載される予定となっている。そこでは、ネオ・マルクス主義的法モデルは、マルクス主義的法モデルを克服しようとするものでありながら、それが不徹底なままに終わっていることを示した。
第三に、昨年度に引き続き、「図式」の肉付けをより十分なものとするため、ハーバード・ロー・スクールにおいて資料収集を行うとともに、「図式」自体をより精緻なものとするため、ケネディ教授と意見交換を行った。なお、ケネディ教授とは、わが国における法的思考の史的展開の特色についても意見交換を行い、貴重なコメントを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の目的である法的思考の発展図式「古典派→社会派→現代派」の一般化に向けて、今年度は、以下の成果をあげることができた。第一に、日米契約法思考の比較系譜学に着手することにより、「図式」の一般化のための基礎となる部分の成果を提出することができた。第二に、批判法学派ネオ・マルクス主義の批判的検討を通じて、「図式」の社会理論的基礎について考察を進めることができた。第三に、「図式」の定礎者ダンカン・ケネディ教授との対話を通じて、現代日本の法的思考をより詳細に位置づけるための手がかりを得ることができた。

今後の研究の推進方策

本研究課題の目的である法的思考の発展図式「古典派→社会派→現代派」の一般化に向けて、今年度はその基礎となる部分の成果を提出することができたので、次年度以降は、個々の法的思考により踏み込んだ研究を行いつつ、順次研究成果を公表することを目指していきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ネオ・マルクス主義的法モデル再論2014

    • 著者名/発表者名
      船越資晶
    • 雑誌名

      和田仁孝ほか編『法の観察―法と社会の批判的再構築に向けて』(法律文化社)

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [学会発表] 法的思考の現代〔グローバル〕化/批判法学の実用化

    • 著者名/発表者名
      船越資晶
    • 学会等名
      「グローバル化による法の変容可能性」研究会
    • 発表場所
      びわこ楽園ホテル井筒

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公開日: 2015-05-28  

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