台湾総督府による治績を評価するために現地に残る「文物」調査と分析を行った。「文」は「台湾総督府公文類纂」を基軸とする文書群で、「臨時台湾土地調査局」については292巻の全画像を蒐集し、約50万字の翻刻文を蓄積した。他に「総督府職員録」に基づいて、台湾近代化の原動力となった官員データベース(明治31~昭和3年)を作成し、双方とも公開への途を歩んでいる。 「物」は総督府時代の築造物で、文化財としての古蹟に留まらず、その機能が現在も維持される建物群や当時のインフラである。これらを原住民が保持した慣習を含む歴史空間として追体験しなければ、旧慣調査を含めた治績の再評価は不可能だという認識を得た。
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