研究実績の概要 |
最終年度である平成27度には論文一本、分担執筆を一本、書評を二本、学会展望を一本執筆し、研究会の報告を二回、学会報告と学会での通訳をした。また、三月にはポステマ教授を招聘し、セミナーを開催した。 『法の理論』34号には、「創る法と成る法」という特集の下、「立法をめぐる近代イギリスの法思想― 19世紀イギリスにおける『創る法』と『成る法』という論文を執筆し、イギリス法における判例法と制定法の関係、法をめぐる様々な思想を検討した。また、森村進編『法思想の水脈』(法律文化社)で、「『法』と法の支配―クックからダイシーまで」という章を担当し、近代イギリス法における法の支配の思想史を概観した。さらに、ツァイ教授の共編著、Bentham's Theory of Law and Public Opinion(Cambridge, 2014)と岡嵜修『レッセ・フェールとプラグマティズム法学』(成文堂、2013年)の書評を執筆するとともに、イギリス哲学会の機関誌『イギリス哲学研究』で、イギリス法思想史の学界展望を執筆した。 学会報告等としては、国際法哲学社会哲学学会連合(IVR)の研究大会にて、イギリス法理学とコモン・ロー思想との関係を分析する報告をした。さらに、横浜国大の有江大介教授が主催する科研費補助金研究集会で、ベンサムに関する共編著について報告するとともに、ロンドン大学ベンサム・プロジェクトのベンサム・セミナーでも、ベンサムの法典化論の日本での受容という観点から報告した。この他に、関西学院大学の深尾祐造教授が、法制史学会にロバーン教授を招聘した際、マグナ・カルタについての報告原稿の翻訳やディスカッションの通訳などをしている。 3月には、当初の予定通り、ノース・カロライナ大学のポステマ教授、コメンテーターとして、マカオ大学のツァイ教授を招聘し、ベンサムと法の支配に関するセミナーを開催した。
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