研究課題/領域番号 |
24530014
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80302785)
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研究分担者 |
安枝 英俊 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (60402971)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アンチコモンズ / アメリカ法 / Property |
研究実績の概要 |
中古住宅の流通促進という本研究課題の目的するためには、以下の3つの項目についての研究が必要であると判断したため、2014年度は以下のような研究を行った。 第一に、アメリカのProperty Lawを体系的に勉強することで、1)アメリカ法における住宅取引の規制、判例、実務、2)集合住宅における共同所有・管理の仕組み、3)管理放棄された不動産へのポリスパワーによる介入、eminent domainの行使について理解を深めることができた。特に、1)に関しては、これまでの先行研究では、利益相反する両手契約の禁止、買い手側エージェントによる情報開示の促進といった特徴がアメリカの中古住宅流通の安全性を確保していると指摘されていたが、実際には、売り手側エージェントが両手契約をやることも多く、判例や州法も十分規制できていない実態がわかった。 第二に、 マンションの管理体制が崩壊した場合の所有権の側でのアプローチのあり方について研究を行った。フランス法における負財という概念、アメリカ法におけるアンチコモンズの悲劇論、ランドバンクによる土地集約について文献研究を行い、序論的な論文も執筆した。学会でも過少利用時代における所有権論のあり方をテーマとするミニシンポを企画・実施した。 第三に、京都の高経年マンションにつき研究分担者の安枝がアンケート調査を実施し、高経年でも管理が良好であることの条件を分析するための基礎データを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アメリカのロースクールの講義に参加する形でProperty法を研究できているので、実務や研究動向についての理解が計画以上に深まっている。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカのProperty法の体系、当研究課題についてのアメリカでの実務と研究動向について今年度理解を深めることができたので、来年度は、アメリカで本格的な調査を行い、日本で行ってきた研究成果をあわせて発表できるように成果をまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年8月から研究代表者がアメリカで在外研究の機会を得たため、アメリカでの調査費が予定したよりも低くなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用分と次年度研究費は、次年度に研究分担者と共同でアメリカ調査を実施することに当てる他、研究成果の英語による発表のための校閲費、学会参加費にも用いる。次年度は最終年度であるため、質の高いアメリカ調査を実施し、その上でこれまでの研究知見に照らして比較考察を行い、研究成果のとりまとめに全力を注ぐ。
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