研究実績の概要 |
研究期間を延長した形での最終年度は、代表者と分担者ともに研究成果の論文執筆に努めた。分担者は、雑誌・都市住宅学に査読付き論文を掲載できた。これは、本科研費を用いて実施した高経年マンションの住民へのアンケート調査に基づく成果である。この論文によって管理の質を住民がどのように評価しているのか、その情報の入手過程が明らかとなった。 代表者は、15万字程度の長編論文を所属機関の紀要論文にまとめた他、コミュニティ政策学会(江戸川大学)、International Academic Association on Planning, Law and Property Rights(香港大学)にて学会発表を行った。サンフランシスコ市でのビジネス改善地区が居住用不動産であるマンションとそのような関係にあるのか、特に負担金の算定方法や使い道といった点で紛争が生じること、これをカリフォルニア州では、受益毎に負担金を厳密に計算させることで問題解決を図っていること、地区管理の存在が中古マンションの市場活性化において重要な役割を果たしていることが解明できた。 また韓国・晋州市・慶尚大學校から都市再生シンポジウムのための招聘を受け、代表者は、本研究の成果につき講演を行った。ここでは、本研究の成果であるアンチ・コモンズ論の応用可能性について論じ、幸いにしてこの理論に関心を持つ韓国側の研究者をカウンターパートナーとして見出すことができた。 研究成果の論文としての取りまとめに加えて、成果の国際発信も最終年度にできたので当初の目的は十分に達成されたと言える。
|