研究課題/領域番号 |
24530016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知短期大学 |
研究代表者 |
桑原 尚子 高知短期大学, その他部局等, 教授 (10611361)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イスラーム離婚法制 / 国際研究者交流 / マレーシア / エジプト / アラブ首長国連邦 / モロッコ |
研究概要 |
第1年度である平成24年度は、本研究の三つの研究課題のうち、【第1の課題】「①扶養と服従、②夫の一方的離婚権制約と妻の離婚請求権拡大、③扶養と服従の対価関係から生じる離婚の効果における弊害とその抑制を中心に、イスラーム離婚法制に係る立法動向について、相互の関連性・共通性を踏まえつつ検討する」、【第2の課題】「【第1の課題】で挙げた①から③をめぐる裁判等における運用状況について、実体法上の権利・義務関係の要件・効果のみならず、手続法の観点も踏まえて検証する」について、エジプト及びチュニジアにおいて現地調査を実施して、裁判官、検察官、弁護士、女性機関、政党、NGO等から聴き取りを行った。また同現地調査では、法令、裁判判決、必読文献の収集を行った。マレーシア及びアラブ首長国連邦については、【第1の課題】及び【第2の課題】について、遠隔での、法令及び判例等資料収集を行った。 研究を遂行していく中で、ムスリム諸国―とりわけ中東及び北アフリカ―のイスラーム離婚法制改革その他のジェンダーに関する法制度改革へ外国ドナー(国連、世銀等国際援助機関、USAID、GIZ等二国間援助機関)が関与する事例が多く存在することが明らかとなったため、法整備支援のプラットフォームLaw, Justice and Developmentの年次総会(於世界銀行本部)へ出席して、国際援助機関、二国間援助機関及び法整備支援に携わる国際NGOの関係者と意見交換等を行い、情報収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、変動期にあるイスラーム離婚法制変容の方向性を明らかにすることにある。今年度は、近年のムスリム諸国における最も大きな変革ともいえる「アラブの春」が及ぼした、あるいは及ぼしつつあるジェンダー法制へのインパクトを把握することに注力した。当該社会の文脈でイスラーム離婚法制の変容を理解するに際しては、それを直接経験したにせよ、しないにせよ、ムスリム諸国へ大きな影響を与えた「アラブの春」のジェンダー法制へのインパクトを把握することは欠かせない。このような観点から、今年度は、「アラブの春」を直接経験したエジプト及びチュニジアにおいて現地調査を遂行した。これら現地調査では、イスラーム離婚法制の変遷、「アラブの春」とジェンダー法制などに係る諸論点について、法曹三者、女性問題を担当する国家機関、政党、NGO、ドナー、学識者等と面会して、良質かつ貴重な情報を収集することができたと同時に、現地での人脈を構築することもできた。これら現地調査では、現地の方の協力を得て、効率的に、法令、必読文献などの収集も合わせて行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
エジプト及びチュニジアにおいて実施した現地調査の結果を踏まえて、論文を執筆して、研究成果を公表する。なお、同論文執筆の過程では、中東研究者から批判的コメント等を得るべく、研究会等で草稿を報告し意見交換を行うことを予定している。 研究課題の【第1の課題】及び【第2の課題】について、マレーシア、アラブ首長国連邦、モロッコにおいて現地調査を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の公表のための学会報告等に係る旅費へ充てる。
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