研究課題/領域番号 |
24530016
|
研究機関 | 高知短期大学 |
研究代表者 |
桑原 尚子 高知短期大学, その他部局等, 教授 (10611361)
|
キーワード | イスラーム離婚法制 / マレーシア / エジプト / アラブ首長国連邦 / モロッコ / ジェンダーと政治 / 政治の司法化 |
研究概要 |
第2年度である平成25年度は、本研究の三つの研究課題のうち、【第1の課題】「①扶養と服従、②夫の一方的離婚権制約と妻の離婚請求権拡大、③不要と服従の対価関係から生ずる離婚の効果における弊害とその抑制を中心に、イスラーム離婚法制に係る立法動向について、相互の関連性・共通性を踏まえつつ検討する」、【第2の課題】「【第1の課題】で挙げた①から③をめぐる裁判等における運用状況について、実体法上の権利・義務関係の要件・効果のみならず、手続法の観点も踏まえて検証する」について、マレーシアにおいて現地調査を実施し、情報収集を行った。エジプト及びチュニジアについては、【第1の課題】及び【第2の課題】について、遠隔での、法令等資料収集を行った。 エジプトについては、「アラブの春」後の状況が極めて流動的なことを踏まえて、これを対極に位置付けて考察すべく、近代とイスラームという枠組みから先行研究整理にも着手した。 研究を遂行していく中で、ジェンダーや宗教をめぐる政治が、各国の離婚法制の状況へ与える影響が大きいことが明らかとなったため、イスラーム諸国の中でも世俗化の進んでいるレバノンにおいて、ワークショップ出席、専門家との意見交換、資料収集を行った。 さらに、イスラーム離婚法制の諸課題が、欧米の政治と法領域や憲法学において昨今議論が繰り広げられている「政治の司法化」における論点を孕んでいることも明らかとなってきたことから、「政治と司法化」の先行研究整理にも着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究の中間的とりまとめの位置づけで、学会、研究会、ワークショップ等において日本語及び英語でそれぞれ報告を行い、他の研究者からの論評をいただいた。また、これらの論評を踏まえて、論文を執筆した。
|
今後の研究の推進方策 |
第2年度に明らかとなった諸論点をさらに考察して論文を執筆して、研究成果を公表する。論文執筆においてフォローアップが必要な現地調査も実施する。
|